チーム最多登板で防御率0点台。DeNA伊勢大夢が「根拠なき自信」を失って得たもの (2ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by Koike Yoshihiro

 自慢の奪三振力はそのままに、フォアボールと球数が減った。つまり力のあるボールをコンスタントに投げられている上に、同時にコントロールが良くなったともいえる。

胸に刻む三嶋一輝の教え

 昨季、伊勢はプロ入り初めてクローザーを任されたが、相手打線を抑えることができず辛酸をなめる結果に終わってしまった。悔しい経験となったが、その後話を聞くと「何となく投げて抑えてしまっていた"根拠なき自信"を失いました」と自戒を込めて語っていた。

 一方で今季に向け「根拠のある自信をつけていきたい」と力強く述べ、伊勢がそのカギになると考えていたのがコントロールだった。

 今季は左右関係なく打者の内角に独特のシュートライズするストレートを厳しく投げ込み、フォークはしっかりと低めに抑え、さらに左打者にスライダーを使うなど制球力が高まりバリエーションが増えている。そしてとるべきところでしっかりファウルをとり、つねに投手有利なカウントをつくり上げている。

「キャンプ中からゾーン内で勝負しようというチーム方針があって、打たれてもOKではないけど、攻めていく気持ちを持って投げていくことで自然とコントロールがよくなっていったような気はしますね」

 伊勢は21試合連続無失点に加え、11試合連続無安打という記録もつくっており、ランナーを出すことなく、ほぼパーフェクトに抑え込んできた。そんな奮起する様子を見て思い出したのが、2年前のルーキーイヤーに敬愛する先輩である三嶋一輝が伊勢に対してかけた言葉だ。

「とにかく任されたら1イニングを3人で終わらせる。それを続けていけば、いずれチャンスは訪れるはずだから」

 単に無失点で抑えるのではなく、キチッと最少人数で終わらせる。伊勢にそのことを言うと、頷いて続けるのだ。

「これも三嶋さんがおっしゃっていたんですが、クローザーをやっていると前の回が三者凡退だったり、バタつかず終わってくれると、ピッチングに入りやすいって。ですから(セットアッパーとして)そこはすごく意識していますね。やっぱり流れのあるスポーツですし、空気を読むのはすごく大事ですから」

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