「歴代最高の1番打者」を高木豊が選出。世界の盗塁王、もうひとりの「バケモノ」のすごさを語った (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

――福本さんといえば、やはり足。盗塁のうまさは群を抜いていた?

高木 3割を打って、100個前後の盗塁(1972年に106個、1973年に95個、1974年に94個の盗塁をマーク)をするなんて恐ろしいですよね。スタミナ的にも"バケモノ"です。シーズンを通してバッティングと塁上でも集中したら、普通であればヘトヘトになりますよ。福本さんは外野手でしたが、内野手だったらもっと大変だったかな。

 あと、"バケモノ"というなら松井稼頭央もそうです。スイッチヒッターでホームランを30本打ち、盗塁王も獲り、ショートを守る。肩の強さも特別で、全力で投げたらどこまでいくかわからないくらいだった。最高の1番打者でしたね。

――アテネ五輪の時、松井さんはメジャー移籍したため本戦には出場しませんでしたが、予選の時は1番を務めていました。当時、高木さんは日本代表でコーチを務めていましたが、1番は松井さんが適任だった?

高木 松井の1番起用は、満場一致もいいところでしたよ(笑)。実力も実績も申し分ないですし、性格も最高にいい男でした。ポジティブで積極性があり、闘争心もあって性格的にも1番に適していました。非の打ち所がありませんでしたね。

 人間らしいところもありましたよ。壮行試合でいきなりエラーをしたので「どうしたんだ?」と聞いたら、「国歌を聞いて守備についた時に、緊張感がマックスになってまったく動けなかったんです」と答えて。「お前でもそういうことがあるの?」と続けたら、「はい。でも、この予選で経験しといてよかったです。本番じゃなくて」と。そういうことを話すというのは、性格的に素直だということ。そういった部分も含めて、最高であり、最強の1番打者でしたね。

元プロ野球選手のYouTuberのパイオニア

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