「歴代最高の1番打者」を高木豊が選出。世界の盗塁王、もうひとりの「バケモノ」のすごさを語った

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

――そうなると、出塁率4割を残すために必要な能力があるかどうかがポイントになりますね。

高木 そうですね。(パ・リーグ編で話した)今季にソフトバンクの1番に定着している三森大貴のような"いやらしさ"や、楽天の西川遥輝のようなボールを見極める力、ボールを引きつけて対応するためのスイングスピードといった能力が必要になってきます。

――積極的に打ってきて、少し間違えればホームランの危険性がある打者と、ボールをじっくりと見極めてくる打者などいろいろなタイプがいます。出塁率が大事というお話がありましたが、どんなタイプが1番に適していますか?

高木 その時の相手投手のタイプ、球場によっても違うと思います。例えば、広いバンテリンドームだと初球からガンガン打ってこられたとしても、なかなかホームランにはならないので助かります。

 ホームランを30本打てる打者が1番にいて、初球から振ってこられるのも"気持ち悪い"です。だけど、ホームラン10本程度の打者が初球から振ってきてアウトになれば、『初球から打ってくれた。楽だったな』という印象しか相手に与えられません。

 あと、投手は立ち上がりで自分のリズムを作っていくことが重要ですが、仮にホームランを打たれたとしても、気持ちの切り替えがしやすい。それに対して、10球くらい粘られてフォアボールなどで出塁されてしまうと、すごく精神的なストレスがかかります。そう考えると、いやらしさを兼ね備えている打者のほうが1番には向いているのかもしれません。

――歴代最高の1番打者を挙げるとすれば?

高木 僕がオープン戦で対戦した時はすでに現役の終盤でしたが、やはり福本さんですね。

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