高木豊がセ・リーグの1番打者を評価。「両リーグでNo.1」と絶賛したのは?

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Kyodo News

――次に巨人ですが、今季にもっとも1番で出場しているのは吉川尚輝選手。しかし、吉川選手が死球によるケガで離脱し、5月途中からは丸佳浩選手が1番に。吉川選手が復帰したあとも丸選手が引き続き1番を務めています。まず吉川選手はどうですか?

高木 吉川は1番打者を相当意識していたのか、出塁を重視していましたよね。その証拠と言えるかはわかりませんが、センターから反対方向の打球が今年から多くなった。インサイドのボールも、昨年までは引っ張っていたのを、おっつけてセンター方向に打つようになりました。

 このままいけば、いい1番打者になるだろうと思っていた矢先のケガでした。開幕当初、「巨人には1番が不在」といった報道もありましたけど、吉川はやはり自分の果たすべき打順、足を活かせる打順は1番だと思っていたはずです。

――現在は丸選手が1番を務めていますが、それについてどう思いますか?

高木 吉川がケガで離脱した時、何人かの選手が1番を務めていましたが、吉川以外では「適任は丸かな」と思っていました。出塁率も高いですし、先ほどの塩見と同じように、相手に威圧感を与えられる打者ですからね。

――続いて広島についてお聞きします。開幕からしばらく西川龍馬選手が1番を任され、以降は堂林翔太選手、野間峻祥選手ほか何人かの打者が務めています。まず、西川選手の1番はどうでしたか?

高木 適応能力はありますよね。ただ、"振りたがる"打者なので、出塁よりも「自分で勝負して決めたい、走者を返したい」というタイプの打者ですよね。だから、クリーンナップに置いてあげたほうが、彼は力を発揮できるのかなと思います。

――堂林選手はどうですか?

高木 堂林は年齢とともに、1番打者や代打など途中交代の役割も含め、状況によって求められることをわかる打者になってきました。「この場面では右に打ったほうがいい」といったことを楽しめる感性が出てきました。一般社会でも、20代の頃と30代になってから考えることは違うじゃないですか。例えば、家庭を持つかどうかといった点ひとつでも全然違う。

 とにかく「野球がすごくわかってきた」という印象ですが、どちらかというと、クリーンナップか6番などを打つタイプ。それでも、"自分を殺せる"という意味では、西川と比べると堂林のほうが1番には適していると思います。

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