日本ハム・松本剛、プロ11年目の「遅咲き首位打者」は実現するか。田中幸雄が好調の理由を分析 (3ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Koike Yoshihiro

── これまで一軍に定着できなかった理由は何だと思いますか。

「松本はプロ6年目の2017年に、一軍でリーグ10位の打率を残しました。とにかくミート力に長けた選手で、思いきりもいい。そのままレギュラーに定着するのかと思ったら、翌年以降は成績が上がらなかった。どの選手にも好不調の波があるのですが、悪くなった時にどれだけ短い期間で復調できるかが重要になる。体力的、精神的、さらに技術的な部分も含めて、レギュラーの選手と比べて足りなかったのかもしれません」

── そんななか、今シーズンはここまでダントツの成績を残しています。好調の要因はどこにあると思いますか。

「今年は新庄監督が就任し、『レギュラーは白紙、横一線からのスタート』を明言したことで、心機一転、新たな気持ちでスタートをきれたことが大きいと思う。技術的な部分を挙げると、ストレートに力負けしなくなったことと、変化球への対応力がついた。そのなかで甘めの球を積極的に打ちにいくことで、いい方向に打球が飛んで結果としてヒットになっている印象があります。三振が少なく、四球も少ないというのも、新庄監督の指示どおり積極的に初球から打ちにいっている証だと思います」

── ペナントレースはまだ90試合近くあります。プロ11年目の「遅咲きの首位打者」のタイトル獲得に期待が高まります。

「私も長年プロの世界でいろいろな選手を見てきたが、1シーズンを通して好調を続けるのは大変だ。松本がシーズン半分を終えた時点で、どのくらいの数字を維持できているか。今後不調に陥った時こそ、たとえば四球を選んだりすることが大事になる。せっかく好スタートをきったのだから、このまま首位打者を獲れるよう応援しています」

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