佐々木朗希は五十嵐亮太から見ても「欠点はない」。交流戦での攻略へ、セ・リーグ球団がやるべきことは? (3ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

「佐々木攻略」を実現できそうなセ・リーグ球団は?

――「スピードの件」とは何でしょうか?

五十嵐 彼が球速にこだわるようなタイプであれば、1、2球くらいは167キロ、168キロを投げることはできると思うんです。でも、彼は決してそんなことはしない。僕だったらもっとスピードを出したくなるし、三振を取りたくなるのに、佐々木投手は決してスピードにこだわらない。「三振じゃなくて凡打でいいや」と考えられる冷静さもありますね。

――やはり、現段階では欠点は見つかりませんか?

五十嵐 欠点はないですね(笑)。相手バッターだって「真っ直ぐとフォークしかない」とわかっているんです。でも、打てない。これはもう、どうしようもないですから。

――球審との問題が起こった時も、マウンド上で動じる気配は感じられなかったですね。

五十嵐 あの一件についても、僕は「将来の佐々木投手のためになったな」と受け取りました。同じピッチャーとして、佐々木投手の気持ちもよくわかります。でも、僕がメジャーリーグに行ったときに強く意識していたことですが、感情を態度で表したら、絶対に自分が損をするんですよ。あの場面、実は審判に対して不満を表したわけではないかもしれない。でも、結果的に大きな話題となってしまった。この経験は、今後の佐々木投手にとって無駄ではないし、役に立つことだと思いますね。

――現在、交流戦の真っ只中ですが、セ・リーグ打線が佐々木投手を攻略するにはどうすればいいでしょうか?

五十嵐 あれだけのスピードボールと、落差のあるフォークボールがありますから、大振りするチームは難しいと思います。ある程度、全員がコンパクトに振って、ヒットを重ねて粘り強く繋いでいくチームなら攻略できるかもしれない。そうなると、現状ではカープなのかな? 今年の交流戦では実現しませんでしたが、もし「佐々木朗希vs広島打線」が実現していたら、いい勝負になった可能性はあると思います。

――確かに、オリックスの福田周平選手はコンパクトなスイングで対応していましたしね。阪神も、近本光司選手、中野拓夢選手、糸原健斗選手などが並べば可能性がありそうですか?

五十嵐 そうそう、そういう感じの打線ですね(笑)。オリックスの吉田正尚選手も完全試合を食らった後にレフト方向へのヒットを打っていたし、チーム全体で対策を立てて臨まないと「佐々木朗希攻略」は難しいでしょう。佐々木投手がセ・リーグ相手にどんなピッチングを見せるのか、僕も本当に楽しみにしています。

★五十嵐亮太(いがらし・りょうた)
1979年5月28日生まれ、北海道出身。1997年ドラフト2位でヤクルトに入団し、2004年には当時の日本人最速タイ記録となる158キロもマークするなど、リリーフとして活躍。その後、ニューヨーク・メッツなどMLBでもプレーし、帰国後はソフトバンクに入団。最後は古巣・ヤクルトで日米通算900試合登板を達成し、2020年シーズンをもって引退した。現在はスポーツコメンテーターや解説として活躍している。

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