佐々木朗希は五十嵐亮太から見ても「欠点はない」。交流戦での攻略へ、セ・リーグ球団がやるべきことは?

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

五十嵐亮太インタビュー 後編
"令和の怪物"佐々木朗希

(前編:注目の若手は?セ・パの新人クローザー、将来の4番候補、古巣ヤクルトの有望株>>)

腰を据えた長期的プランでの育成が奏功

――プロ3年目の今年、いきなり完全試合を達成するなど、"令和の怪物"の本領を発揮し始めた佐々木朗希投手について伺います。まずは、今年のここまでの彼の活躍をどのようにご覧になっていますか?

五十嵐 「どのように」という次元ではないほど、すばらしいピッチングが続いていますね。ただ、完全試合は本当にすごかったけど、やられた側のオリックス打線が2度目、3度目の対戦で少しずつ反応できるようになってきています。そうした中で、佐々木投手はどのように抑えていくのか。次の段階の戦いが始まって、さらに面白くなってきました。

快投を続けるロッテの佐々木朗希快投を続けるロッテの佐々木朗希この記事に関連する写真を見る――とはいえ、佐々木投手は4月10日にオリックス相手に完全試合をして、24日にもオリックス戦で5回を投げて勝利投手、さらに5月13日にもオリックス戦で7回を投げて勝利投手になりました。交流戦前の時点で、オリックス戦だけで3勝を挙げています。

五十嵐 そうなんです(笑)。オリックス打線が少しずつ反応できるようになっているのに、佐々木投手は勝ち続けています。ピンチを招いても無失点で切り抜けたり、勝利投手になったり。4月の月間MVPを獲得しましたが、この勢いはまだ続きそうですね。

――昨年に比べて、何か変化は見られますか?

五十嵐 そこまで大きな変化は見当たらないですね。彼の場合は、プロ入り以来、段階的に取り組んできたことが結果に結びついているという形に見えます。「急に何かを変えた」のではなく、決して無理をせず、負担をかけずに、地道にトレーニングを重ねたことで「自分のイメージにたどり着いた」という感じじゃないでしょうか。

――ヤクルトの奥川恭伸投手もそうでしたが、近年では期待の逸材に対しても、決して焦ることなく、段階を踏んで育成するケースが多いですね。

五十嵐 それは間違いなくありますね。今回のロッテの佐々木投手に対する育成方法も、他球団にとって参考になると思います。高校時代から160キロのボールを投げていた佐々木投手のように出力の大きい選手は、どうしてもケガのリスクがつきまといます。単発で投げるだけなら問題ないけど、1年間のペナントレース、さらにその先にある長い野球人生を考えると、焦ることは得策ではないですよね。

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