山川穂高は日本人選手史上6人目の「50本塁打」に到達できるか。広澤克実が語る偉業達成の条件

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Koike Yoshihiro

 王のあと50本塁打を達成したのが、1985、86年と2年連続で三冠王に輝いた落合博満(ロッテ)だ。落合は82年にも三冠王を獲得しているが、その時の本塁打は32本。そのことを考えれば、数年の間にホームランを打つ技術を身につけたのだろう。

 松井秀喜(巨人)は、1998年に34本、2000年42本と年々パワーアップして本塁打王のタイトルを獲得し、02年ついに50本の大台に到達した。

 その後、50本には届かなかったが、異次元のバッティングを見せたのが2011年の中村剛也(西武)だ。この年、打球が飛ばない"統一球"が導入され、ロッテのチーム本塁打数が46本というなか、中村は48本を放ってダントツの本塁打キングに輝いた。ちなみに、セ・リーグ本塁打王のウラディミール・バレンティン(ヤクルト)は31本だった。

山川の打球角度は神の領域

 はたして山川は、今シーズン50本塁打に到達することができるのか。現役時代、通算306本塁打を記録している広澤克実氏に、山川の好調の原因、50本塁打の可能性について聞いてみた。

── 山川選手がホームランを量産している理由はどこにあると思いますか。

「打てないコースもあるが、打てるコースをファウルやゴロにしないで、確実にホームランにしている。ライナーになるか、ホームラン角度に上げるかは7ミリの差。山川選手の打球はきれいな放物線を描いている。意識的にやっているのだから、"天才""神の領域"に達していると言っていい。他球団で言えば、体は大きくないが山田哲人(ヤクルト)はホームランの角度の打球を打つ天才です」

── 山川選手は「今年はお尻の位置が決まる」と表現しています。

「山川選手はステップして、左足に一度体重が流れるが、そのあとまた右足に体重が戻る。これがホームランを打てる打者のトレンドになっている。鈴木誠也選手(カブス)しかり、吉田正尚選手(オリックス)しかり。これが彼の言う『お尻の位置が決まる』という表現ではないでしょうか」

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