佐々木朗希もすごいが、山本由伸は「パーフェクト」。名スコアラーが考えた攻略の糸口

  • 白鳥純一●文 text by Shiratori Junichi

三井康浩さんインタビュー 後編

(中編:WBC決勝、イチローから「どうします?」と聞かれて答えた狙い球>>)

 今季のプロ野球は、ロッテ・佐々木朗希の完全試合達成をはじめ、さまざま若手選手の躍進が目立っている。巨人、2009年WBCの日本代表のスコアラーとしても活躍した三井康浩氏に、活躍中の若手選手たちの印象や、三井氏視点での攻略法などを聞いた。

球界を代表する大エース、オリックスの山本由伸 photo by Kyodo News球界を代表する大エース、オリックスの山本由伸 photo by Kyodo Newsこの記事に関連する写真を見る***

――4月10日のオリックス戦で、ロッテの佐々木投手が完全試合を成し遂げました。完全試合といえば、1994年に槙原寛己さんが達成した時に、三井さんも巨人の一員でしたね。現役時代の槙原さんの印象はどうでしたか?

「槙原は、当時としては速い140キロ台後半の速球とフォークボールを持っていて、斎藤(雅樹)、桑田(真澄)と並ぶ巨人のエースとして活躍していました。ただ、荒さや脆さも見え隠れする投手でしたね。視力が悪いので、『捕手から出されるサインが見えない』と、槙原自身がマウンド上からサインを出していましたし、それがヤクルトにバレたこともありました(笑)」

――佐々木投手は完全試合を達成した試合で、13者連続三振の日本新記録を更新。27アウトのうち、19個が三振という圧巻の投球でした。

「佐々木投手は、160キロ超のすさまじい速球、緻密なコントロールに加えて、変化球の精度も素晴らしい。落ちるポイントが遅いフォークには、打者もなかなか手が出ないでしょう。大谷(翔平)投手以上ではないかと思いますし、本当に信じられないような投手です。わたしもあの試合を、『これはオリックスの選手も打てない。無理だな』という感じで見ていました(笑)」

――スコアラー時代、佐々木投手と同じように「無理だ」と感じられた投手はいましたか?

「西武時代の松坂大輔に対しても、ある試合で『今日は無理だ。打てない』と選手たちに言ったことがありましたね。ただ、『もしチャンスがあるとしたら、カウントを取りにくるスライダーは打てるかもしれない。それが打てなかったら今日はお手上げだ』と伝えてみたら、なぜかノックアウトできた。勝負はわからないものですね(笑)」

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