PL学園・伝説のコーチが明かす、立浪和義の高校時代とリーダーの資質「先を見る力は群を抜いていた」 (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Okazawa Katsuro

 しっかり先輩を立て、裏方も大事にする。先の沖縄キャンプ訪問時、立浪がグラウンドキーパーやアルバイトのメンバーに食事を振る舞う姿を目にしたという。

「『この人たちがいないと、僕ら練習できないんです』って、大人数の食事代を払っていてね。さすがやなと思いました。たとえばこれを桑田がやると、ちょっとええ格好しに見えるけど、タツはそうならない。これはキャプテン経験者とそうじゃない子の違いかな。キャプテンは常に全体のことを考えて動いているから、そういうことも自然にできる。

 あとキャプテンということで言えば、チームで何かあった時にバシッと抑えるのも仕事。桑田は何かあった時、言いたいヤツは言わしておけというタイプ。でもキャプテンとなると、スルーはできない。だから中日の監督になって、キャプテンの経験が必ず生きていると思います」

片岡篤史との絆

 さらに清水は、立浪の同級生である片岡の存在についても熱く語った。

「PL出身のふたりが一軍と二軍の監督。うれしいもんですけど、ふたりは高校の時から波長が合ったんでしょうね。最初は、片岡は目立たんかったけど、ふたりとも活躍して春夏連覇。タツがプロへ行って、片岡は大学に進んだけど、オフになるとウチの(実家の)寿司を食べに来てくれた。ほんまええコンビです。片岡もタツが何を求めているのかわかるから、選手に対する指導もブレないはず。タツが片岡を呼んだことは、チームをつくるという点でめちゃくちゃ大きいでしょうね」

 6、7年前のことだが、ある雑誌の企画で立浪と片岡の対談を担当したことがあった。その時は高校時代の話を、じつに楽しそうに語ってくれたが、今もふたりのこんなやりとりが頭に残っている。

片岡 2年秋の近畿大会で負けそうになったところから、なんとかベスト4に入って、センバツに出場できそうだと。そしたら大会が終わって少ししてから、タツが「朝、一緒に寮の周りの落ち葉を掃こう」って言い出したんです。正直「うわっ」と思ったんですけど、「朝5時45分からやるぞ」と。そこから毎朝「はよ起きろ!」ってどやされながら始めたんです。

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