巨人・中田翔を筆頭にジェットコースターのような山あり谷あり。2007年高校生ドラフト1位の数奇な野球人生 (3ページ目)

  • 津金壱郎●文 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Kyodo News

外れドラ1にも予期せぬ波乱

 巨人に外れ1位で入団した藤村大介(熊本工業)は、プロ4年目の2011年に119試合に出場し、28盗塁で盗塁王を獲得。しかし、レギュラー獲りに成功したかと思われた2012年は、打撃不振からセカンドの定位置を失ったうえに、前年の盗塁王ながら代走を送られるなど、首脳陣の信頼を勝ち取ることはできなかった。翌年以降は出場機会を大幅に減らし、28歳だった2017年かぎりで現役を退いた。

 中田翔を外した阪神が1位で獲得した高濱卓也(横浜)は、プロ入り4年目の春季キャンプで初めて一軍を見据える位置にいた。ところが、打撃でアピールを続けて一軍キャンプに昇格した矢先、FAで獲得した小林宏之の人的補償としてロッテ移籍を通告される。

 阪神では鳥谷敬の壁や自身の故障もあって一軍デビューはできなかった。だが、サード今江敏晃の故障やショート西岡剛のMLB移籍などで、内野陣の手薄なロッテで一軍デビューを果たす。しかし、チャンスは何度もないのがプロの世界。二軍では打率3割超えをマークするも一軍でチャンスをモノにできず、レギュラー獲りは果たせないまま昨季かぎりで現役を引退。今年から会社員として働いている。

 同じく中田を抽選で外したソフトバンクが1位で獲得したのは、甲子園で150キロをマークした岩嵜翔(市立船橋)だ。しかし、プロ入り4年間は先発投手としての期待に応えられず。5年目の2012年も開幕当初は先発で起用されたが、リリーフ陣に故障者が出たことでリリーバーへ。

 だが、そこで潜在能力が開花する。2017年には72試合に登板して40ホールド、防御率1.99と抜群の成績を残し、最優秀中継ぎ投手に輝く。翌年は右ひじを故障し、手術を受けて2シーズンを棒に振るも、2020年から一軍に本格復帰。昨季は一時クローザーを任されるなど48試合に登板して2勝5敗6セーブ14ホールドを記録する。

 今季は又吉克樹のFA移籍に伴う人的補償で中日のユニフォームに袖を通し、キャンプ&オープン戦を通じてセットアッパーとして期待された。移籍後初登板した開幕第2戦で右ひじを故障するという悪夢でシーズンを棒に振ることになったが、岩嵜が再び試練を乗り越える日を中日ファンもソフトバンクファンも待っている。

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