巨人・中田翔を筆頭にジェットコースターのような山あり谷あり。2007年高校生ドラフト1位の数奇な野球人生 (2ページ目)

  • 津金壱郎●文 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Kyodo News

高校ビッグ3それぞれの試練

 4年目の2011年、由規は7勝したものの、2012年からの4シーズンは一軍での登板がなく、一時は育成契約も経験する。2016年に復活したが、2018年に右肩故障の再発で戦力外通告。2019年からは生まれ故郷の仙台・楽天に新天地を求めたものの、一軍での登板は1試合1イニングのみ。2020年かぎりで戦力外通告を受けた。

 ただ、プロの世界はNPBだけではない。2021年からはBCリーグの埼玉武蔵ヒートベアーズに加入。地区最多勝利をマークし、埼玉武蔵の地区優勝に貢献した。今季からは投手コーチを兼任している。

 もうひとりの高校ビッグ3・唐川も、入団1年目は4月にプロ初登板初先発で初勝利をマークするなど5勝4敗で上々のスタートをきった。2年目は開幕から先発ローテーションの一角に入って21試合に先発登板。勝ち星は前年と同じ5勝(8敗)だったが、防御率は前年を大きく上回る3.64を残した。

 ただ、4年目に12勝をマークしたものの、翌2012年は8勝、2013年は9勝と、エース候補はブレイクしきれなかった。2018年からはリリーバーになり、2020年は『7回の男』として14ホールド、防御率1.19と抜群の安定感を発揮。昨季も22ホールドをマークしている。だが、ドラフト前の評価や入団後に抱かせた期待感に比べれば、スケールダウンした感は否めないだろう。

 高校ビッグ3のプロ生活はジェットコースターのような乱高下だったが、ドラフト時の評価で彼らに続いた選手たちの境遇も、変化の著しい数奇な運命をたどっている。

 わずか4年のプロ生活でセカンドキャリアを踏み出すことになったのが、楽天に指名された寺田龍平。道内屈指の進学校・札幌南高時代に140キロ台中盤をマークした直球が評価されてのプロ入りだった。

 だが、プロ入り後は球速が130キロ台に低下し、制球難にも苦しむことになる。それでもサイドスローを試すなど試行錯誤を続けたが、4年間で一軍登板のないまま2011年かぎりで戦力外通告を受けて引退。IT企業や広告代理店などで社会人としてのキャリアを重ねている。

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