元オリックス川口知哉が明かす高校時代のビッグマウス発言の真相。「思っていることを正直に口にしただけ......」

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Sankei Visual,Tanigami Shiro

── 1週間500球の球数制限もできました。どう感じますか。

「正直、ルールとしてはあってもなくても......という感じはします。もちろん、選手を守るためのルールですけど、1週間で500球を投げるケースというのは、大会で勝ち上がったチームの投手だけで、ごくわずかです。それに今の時代、ひとりの投手に頼って勝つのは難しいので、本気で勝ち上がろうとするチームなら、しっかり投げられる投手を複数持つという考えになっているでしょうし。僕らの頃は、エースがひとりで投げて、チームの命運を託すという時代でした」

── 1997年の翌年には、松坂大輔投手がエースの横浜高校が春夏連覇。絶対的エースが輝いた時代でした。対して、今春のセンバツで優勝した大阪桐蔭は、エース格の前田悠伍投手が13イニングの登板。時代を表していると思いました。

「僕らの頃は、エースは完投というのが当たり前の時代で、僕もマウンドに上がったら途中で降りるのは絶対にイヤだった。降りて負けるのが、一番許せなかったですから」

家に帰るのは夜中12時半

── それにしても、真夏に820球......。

「我ながらよく投げました(笑)。4連投目(決勝戦)の朝は、起きた時には前日と似た感じで『ちょっと張ってるけど、意外にいける』と思ったんです。でも、動かしていくと肩周りとか上半身がバキバキで、ロボットみたい。さすがにボールはいかなかった。でも、その後もヒジや肩が投げすぎでおかしくなったというのはなかったんです。プロに入ってからはフォームを崩して、そこからヒジや肩に負担がきたというのはありましたけど」

── 心配される投手のヒジや肩への負担は、試合での球数以外にも複数の原因が絡んだ結果なのでしょうね。

「100球でも痛める人はいるでしょうし、持って生まれた筋肉の強さや関節の柔らかさ、体のケアも大事になります。なかでも、一番影響が出やすいのはフォームだと思います。体に負担の少ない投げ方をしていたら、ケガの確率も下がるはず。女子野球を教えていた時から、ヒジや肩に負担がかからない投げ方はしっかり伝えてやっています」

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