ヤクルト戦力外から5年。飯原誉士が独立リーグで最も驚いた選手同士の関係 (3ページ目)

  • 島村誠也●文・写真 text & photo by Shimamura Seiya

 これまでにチームからは3人のNPB選手が誕生した。

内山大嗣(ヤクルト/捕手/2018年ドラフト育成1位)
石田駿(楽天/投手/2020年ドラフト育成1位)
ダニエル・ミサキ(巨人/投手/2021年8月に育成契約)

「大嗣はここで一緒に夜間練習をしたり、結構連れまわした思い出があります。BCリーグのなかでは肩も強く、(二塁までの)送球タイムも速かったので、打てるようになればNPBから見てもらえるようになるかなと。とにかく、一生懸命やる子でした」

 そして飯原コーチは「独立からNPBに行くには、タイミングが大きく左右すると感じています」と話す。

「どうしてもほしい存在であれば指名されるでしょうけど、ここでやっている選手のほとんどは育成指名なので......。NPBのスカウトの方と話しても、とにかく足の速い選手、長打力のある選手がほしいと。でも、そういう選手がいても、ポジションの絡みで指名されないケースもある。本当にタイミングというのがあるんだなと」

栃木球団初の支配下選手なるか

 取材を終えて部屋を出ると、校舎へ入る踊り場で投手陣がストレッチをしていた。

「ラクしてうまくなるなら、誰も苦労なんてしないよ」
「いろんな情報を入れすぎると、逆にわからなくなってくるもんなんだよ」

 そこには、若いピッチャーたちに金言を授ける成瀬善久選手兼投手総合コーチ(元ヤクルトなど/小山市出身)の姿があった。

 取材日翌日の4月26日、小山運動公園野球場でヤクルト二軍との交流戦が行なわれた。ヤクルトの内山大嗣は球場入りして、グラウンドにいる飯原の姿を見つけると、すぐに駆けていった。

「この球場で久しぶりにお会いすることができて、なんだか懐かしいなぁという感じがしました(笑)。飯原さんには全体練習が終わったあと、ビレッジに戻って夜間練習を見てもらったり、本当に面倒を見てもらいました」(内山)

 内山は栃木球団初のNPB選手で、今年で育成4年目。二軍では捕手以外のポジションもこなし、打率は3割を超えている。支配下登録選手となれば、これも球団初となる。

「自分はスローイングが持ち味なのですが、守備でもバッティングでも結果を残さないといけない立場です。どれかひとつでなく全部をアピールしていきたいです」

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