ヤクルト戦力外から5年。飯原誉士が独立リーグで最も驚いた選手同士の関係 (2ページ目)

  • 島村誠也●文・写真 text & photo by Shimamura Seiya

 独立リーグのレベルについて聞くと、「一番驚いたのは、レベルというよりも」と苦笑いを浮かべる。

「10歳以上も年齢の違う子たちが、フレンドリーに話しかけてくるんです(笑)。NPBの時とはちょっと違う感覚で、コミュニケーションをとってくれるのはうれしいのですが、そんなにグイグイ来られても......少し困惑しましたね」

NPB入りがゴールではない

 コーチとしての優先順位について聞くと、こんな答え返ってきた。

「選手たちはNPBを目指してプレーしています。一番意識するのはそこで、次にチームが勝つことだったり、地域貢献や興行ですね。技術指導はもちろんですが、準備の大切さについて、繰り返し伝えています」

 たとえば、打席に入るまでの準備についてはこうだ。

「なんとなく打席に入って、なんとなくヒットになりましたでは何も残らないよと。自分で状況を判断して、狙いを決めてスイングする。そうしたヒットなら、自分の財産じゃないですけど、次につながる。結果、失敗しても次に向けていい課題として残るよねと」

 NPB選手の練習ぶりについても伝えている。飯原コーチ自身、ヤクルト時代は早くから球場に来て、ウォーキング、ランニング、早出ティー打撃をして、試合に臨んでいた。

「去年までうちに西岡剛(元阪神/現・北九州フェニックス監督)がいましたが、朝は誰よりも早く来て、走っていました。すると、それを見たほかの選手が真似して、朝から動くようになった。とてもいい影響ですよね。NPBを目指すなら、少なくとも彼らと同じくらいの練習をしないと追いつけませんから。

 僕自身は、自分で動かなければならないことを理解したのが年を重ねてからでした。それこそ、若い頃はコーチたちに引っぱってもらっていたんだなと。早くそのことに気づければ......とも思いましたが、もう過去の話。その経験を踏まえて、若い子たちに伝えられたらと思っています」

 そして飯原コーチは、NPB入りがゴールではないとも言う。そこから活躍することが大事だと。

「3年目くらいの選手たちは理解しはじめている感じはありますが、それでもそれだけかかったということは、それだけ歳をとったということ。独立リーグは選手の入れ替わりが多いので、できる限り早く気づいてもらいたいと思ってやっています」

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