山本昌が占うセ・リーグの今後。首位・巨人を追撃するのは? 阪神の優勝はまだ可能か?

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Koike Yoshihiro

 今季のセ・リーグでは巨人が最速で20勝に到達、首位を走っている(今季の成績は5月4日時点、以下同)。一方、開幕9連敗とつまずいた阪神だが、4月29日から敵地で巨人に3連勝。ヤクルト、広島も持ち味を発揮した戦いぶりを見せている。戦前から「混戦」になりそうと見られたセ・リーグで、首位・巨人を追撃するのはどのチームか。解説者の山本昌氏に聞いた。

開幕から9連敗を喫するなど、大きく出遅れた阪神・矢野監督開幕から9連敗を喫するなど、大きく出遅れた阪神・矢野監督この記事に関連する写真を見る

リリーフ陣充実の中日

 今年のセ・リーグは実力的に横一線でスタートし、状態をよくしていったジャイアンツが首位につけています。ポランコやウォーカー、大勢など新戦力の活躍が大きいですね。

 一方、悪いほうに出たのがタイガース。開幕戦では9回までリードしながら逆転負けを許し、そこから9連敗を喫しました。

 その影響もあって最下位に沈んでいますが、もともと地力はあるチームです。昨年、12球団で最も多く勝ち星を挙げたのはタイガースでした。今年は開幕からつまずきましたが、4月29日からのジャイアンツ戦で3連勝するなど、徐々に調子を上げています。

 ただし、去年の開幕前から言っていたことなのですが、中継ぎが1、2枚足りません。ロベルト・スアレスが抜けましたが、効果的な補強がないまま、なんとなくスタートしてしまいました。「誰が出てくるのか......」というところでしたが、今のところ出てきていません。湯浅京己やラウル・アルカンタラがよく投げていますが、もう少し厚みがほしいところです。

 そういう意味では、ドラゴンズはリリーフ陣が充実しています。抑えにライデル・マルティネスがいて、セットアッパーにジャリエル・ロドリゲス、その前には祖父江大輔や清水達也、山本拓実がいる。藤嶋健人や田島慎二も含め、ほかのチームならセットアッパーを任されるピッチャーたちです。今年は延長12回まであるので、ピッチャーのやりくりは他球団よりラクにできそうだという点で、面白い存在だと思います。

 課題は打つほうですね。4番のダヤン・ビシエドがチャンスで機能していません。得点圏打率.182はちょっと寂しいですね。

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