今年の巨人は本当に強いのか。山本昌が分析する好調の要因と「5月危機」の不安 (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Koike Yoshihiro

攻守で躍動する吉川尚輝

 そして、攻守で一番大きい活躍をしているのが吉川尚輝。腰に不安を抱えていますが、もともとセンス抜群の選手。守備範囲が広いし、打ってもパンチ力がある。今年は開幕から元気で打率3割を超す活躍を見せています。吉川が1番に入り、上位打線は安定していますね。

 ジャイアンツの場合、もともと打線が強いなかで、ポランコ、ウォーカーという新外国人がうまくはまりました。ポランコは196センチ、108キロというデカさで、スイングがすごく速い。慣れてくればもっと打ちますよ。ウォーカーも196センチ、104キロとデカくて、こちらもスイングが速いバッターです。

 ただし、ふたりとも守備が気になりますね。決して「うまい」という感じではなく、とくにレフトのウォーカーはスローイングに不安を感じます。そうした情報は各球団に流れているはずで、レフトの左右に打球が飛んで来たら次の塁を狙われるかもしれません。東京ドームはそれほど広くないですが、甲子園やバンテリンドームでどう対処するかですね。

 とはいえ、打線的にはふたりの加入は本当に大きい。そのおかげで、1番から7番くらいまで安定しています。キャッチャーの大城(卓三)がスタメンを外れることもありますけど、小林(誠司)も含めてキャッチャー陣に当たりが出てくると、相当強力な打線になるという感じはしますね。

 "新顔"というところでは、抑えの大勢がすばらしい活躍です。とにかく球が速いし、キレを感じます。抑えにこれほどはまるとは......開幕前は誰も思っていなかったでしょう。それが4月13日のベイスターズ戦で8セーブ目をマークして球団新人記録をつくるなど、誰もが認める守護神に成長しました。これだけ好調の要因が揃っていれば、ジャイアンツが首位を走るのは当然かなという感じがしますね。

菅野&坂本の離脱の影響は?

 とはいえ、「盤石」とまでは言えません。菅野智之が4月30日に「右ヒジの違和感」で登録抹消されました。「なんでもない」というコメントでしたが、エースがなんでもないのに3回降板は常識的に考えにくい。さらに、同日の試合では坂本も負傷して戦線離脱となりました。

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