高木豊が走塁センスの高さに驚いた「上宮高校出身」の意外な2人とは?足は速くないが「野球をよく知っている」

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

現役選手が勝てない「うまさ」

――そのほかに印象的なプレーがあれば教えてください。

高木 ランダウンプレーで元木が三本間で挟まれた時だったと思いますが、守備者に体を当てて走塁妨害をとらせるんです。あれがうまいというか、こずるいんですよね(笑)。走塁のうまさは足の速い・遅いとは関係ないとも言われますが、それを体現していたのが元木でした。

 種田は、私が2001年に横浜でコーチ(一軍内野守備・走塁コーチ)を務めていた時に一緒だったんですが、彼は"コーチのいらない走者"でした。私もサードコーチャーをやっている時に「やっぱりこいつはうまいな」と何度も思わされましたよ。

――現役選手の中では、(前編の記事で)近本光司選手や荻野貴司選手の走塁がうまいとのことでしたが、当時の元木選手や種田選手と比べるとどうですか?

高木 元木や種田のうまさには勝てないですよ。やはり今の野球は"きれい"になっていますから、2人がやっていたようなことができる選手はいませんね。ちなみに、元木は一番多く盗塁をマークしたのが1995年の5個と少ないですが、盗塁以外のところでうまさが光っていました。

――では、足はそれほど速くなくても、盗塁ができる選手の特徴は?

高木 投手の心理を読むことが重要です。盗塁はだいたい"フライング"なんです。例えば、ヤクルトで長らく4番を務めていた広沢克実は意表をついて走ることがありましたが、はなから牽制がないことがわかっていて、フライングで走っていましたよね。心理を読んで隙をつける選手、気配を消せる選手というのは走塁がうまいですよ。

――4番という観点で考えると、村上宗隆選手(ヤクルト)は昨年に12盗塁、一作年は11盗塁をマークしています。

高木 村上の場合はそもそも足が速いですが、体は大きい。相手が自分の走力に対してどういうイメージを持っているかをよくわかっていますね。これはやはり、野村克也さんがヤクルトを長年率いてきて根づかせた"遺産"じゃないですか。

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