広岡達朗の「監督論」。ビッグボス絶賛の理由、立浪采配への期待、落合博満の次期阪神監督にも言及 (2ページ目)

  • 松永多佳倫●文 text by Matsunaga Takarin
  • photo by Kokei Yoshihiro

 のちに「イチローよりも素質的には上だった」と断言するほど、新庄の能力に疑う余地はなかった。「新庄はバカじゃない。メジャーからマイナーまで経験し、野球を知っている。マスコミの扱い方も知っているし、今までの監督、コーチより数段上」と堂々公言し、プロ野球に革命を起こしてほしい思いを託した。

「まだ開幕して20試合前後。開幕3連戦を複数の投手で継投し、スターティングメンバーを日替わりで代えるなど、戦力的に乏しいのはわかるが、打線と守備を固定させないと成長しない。まだ模索している段階だと思うが、試合を見ていると新庄と選手の信頼関係はできつつあるように見える。これから新庄がどんな野球を見せてくれるか」

遊撃手出身の立浪に期待すること

 中日の立浪和義新監督が下馬評を覆して善戦している。ドラフト以外の補強がほとんどない現有戦力でこの順位(セ・リーグ3位/4月27日現在)にいるのは、立浪監督の手腕と言ってよい。

「名古屋に懇意にしている関係者の伝手で、立浪とは三度ほど電話で話した。同じショートというポジションだったので現役時代からよく見ていた。やはり野球は、キャッチャー、内野ではショートが一番野球をよく見ている。外野なんて遊び(笑)。だから彼には成功してもらいたいと思っている」

 内野からコンバートしてできる外野は、広岡からしてみれば場面によっては一球ごとに守備位置を変え、セオリー以上の動きを常に求められるショートに比べれば容易いと言いたいのだろう。

「勝負ごとは、絶対に勝ちにこだわらなければいけないと選手に強く意識させる。そして絶えず競争意識を持たせる。選手が自然に成長していくと思ったら大間違い。昔は切磋琢磨でひとつのポジションに2、3人集めて競争させた。

 いまは他球団から獲ってポジションを与える。そもそもこんなやり方は、勝負師をつくるやり方になっていない。とにかく、これと思った選手がいたら徹底的に鍛えあげて競争させ、心中するつもりで使う。『監督としてダメなら責任をとるって言え』って教えてやった。とにかく、今の指導者は責任観念がなさすぎる」

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