ロッテ佐々木朗希の8回交代に、元エース清水直行が感じたこと。「彼だけは特別な仕事をしている」 (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Kyodo News

完全試合も「通過点」

 試合序盤は悪かった上体のバランスも、「中盤以降は持ち直した」という。

「佐々木は『いかに脱力しながら、力感を失わずに投げられるか』ということを重視しています。試合序盤は、投げたあとに上体が一塁側に倒れるシーンが何度かありましたが、徐々に脱力することや体のバランスを意識するようになり、試合のなかで修正していきました。

 彼は調子が悪いから球速が落ちる、コントロールがものすごく悪くなるといったことがない。だから今後も、調子が悪い日でも抑えることはできると思います」 

 8回で交代したことについては、ロッテで投手コーチ(2018年、2019年)を務めていた観点からも理解を示す。

「ロッテは"球界の至宝"とも言える佐々木を預かった時から、1年目、2年目としっかりとプランを立てて育ててきました。その目指すところを考えると、完全試合も、今回の8回パーフェクトも"通過点"という認識なんじゃないかと思います。佐々木という投手を、『もっと高いところに導かなければいけない』というロッテの使命感、揺るぎない芯の強さが垣間見えましたし、チーム全体で英断していると感じました。

 今は、どんな試合展開でも100~110球で交代させると決めているんでしょう。前の試合は105球で投げ切りましたが、今回は8回を投げ終えた時点で102球。9回を投げれば110球を超えていた可能性が高かったですよね。イニングの途中での交代ということはしないでしょうし、本人もそれを理解した上で登板しているはずです」

 そんな球数の基準がありながら8.9回まで投げられることについても「佐々木は特別ですから」と話す。

「長いイニングを投げるために"3球勝負"でアウトを重ねていますね。前の試合から、厳しいコースをつくことも少しはありましたが、ボール球はほとんどありませんでした。極端に言えば、『全球ストライクゾーンで勝負している』という感じです。そんなことができるのは......本当に"怪物"というか、とんでもない投手です。

 この先も登板を重ねていくなかで、また記録がかかる試合が出てくるはず。今回は援護点がありませんでしたが、そこはチーム一丸となって後押ししてほしいです。それは佐々木に限らず、他の投手の時もそうですけどね」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る