ロッテ佐々木朗希の8回交代に、元エース清水直行が感じたこと。「彼だけは特別な仕事をしている」

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Kyodo News

 4月10日に完全試合を達成したロッテの佐々木朗希が、多くの野球ファンの注目を集めるなかで17日の日本ハム戦に登板。8回まで完全試合を続け、連続無安打のプロ野球記録を更新(17イニング)したが、球数が102球に達した8回で交代となった。「2試合連続の完全試合」という大記録が目の前だっただけに、この交代にはさまざまな声が上がっている。

 現役時代は長らくロッテのエースとして活躍し、この試合の解説を務めた清水直行に、試合直後に話を聞いた。

2試合連続の完全試合を前にマウンドを降り、試合を見守る佐々木朗希2試合連続の完全試合を前にマウンドを降り、試合を見守る佐々木朗希この記事に関連する写真を見る 清水はまず、この日の投球内容について言及。佐々木の調子は「あまりよくない」と見ていたという。

「真っ直ぐの最高球速は163km出ていましたが、狙ったところにいくボールが少なかったですね。そして変化球は、ほとんどがフォーク。真っ直ぐが逆球になったり、捕手が構えた位置よりも高くなったりするのは、彼の場合はよくあることなので心配していませんでしたが、気になったのがフォークなんです。

 佐々木のフォークは、右打者に対してはスライダーのような軌道になります。それは"持ち味"なのでいいと思いますが、上体を少し引っ張るような投げ方になっていて、左打者に対してのフォークが引っかかることがあった。それを見て、『今日は体のバランスがあまりよくないな』と思いました」

 それでも佐々木は、日本ハム打線を8回無失点(無安打・無四球)に抑え、14個の三振(空振り三振は12個)を奪った。調子がよくないながらも抑えられた要因のひとつとして球速差を挙げる。

「フォークは140km台で、真っ直ぐとの球速差が20km弱。前回登板と違って、今回はより球速差のあるカーブが少なかったですが、20km弱の球速差があれば十分に投球はできます。

 対応としては、通常であれば"ヤマを張る"という方法もあります。しかし佐々木に限っては、打者全員がバットを短く持ってコンパクトに振るとか、ポイントを自分の近くにして逆方向中心の打撃に徹するとか、極端なことをする必要があるかもしれない。相当なスイングスピードがないと打つのは難しいですし、あの真っ直ぐを引っ張るのは至難の業ですから」

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