鈴木誠也のポスティング移籍がもたらす「不吉なデータ」。好調カープは抗えるか? (3ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Getty Images

 田中将大の移籍後、楽天は最下位という結果に終わったが、ダルビッシ有や前田健太、菊池雄星といった絶対エースが抜けても優勝しているのだ。

 なぜエースが抜けても優勝できるのか? 要因として挙げられるのが、投手分業制になったことだ。斎藤雅樹(元巨人)が1989年20勝(21完投)、1990年20勝(19完投)を挙げた時代ならいざ知らず、掲出の投手の完投数は斎藤の半分以下がほとんどで、2001年の石井一久にいたっては「0」である。

 2018〜20年は、両リーグとも「規定投球回」に到達した投手が10人に満たない異常事態だった。現在は143試合×9イニング=1287イニングを投手陣全員でシェアする時代だ。昨年、20年ぶりに日本一を果たしたヤクルト投手陣のシーズンホールド数149はリーグ新記録だった。昨今の投手分業制を象徴する数字であり、投手ひとりに対する負担は大幅に減っていることを証明している。

野手のポスティング移籍は...

 一方の打者はどうか。投手がこのような結果ということは、打者が抜けてもさほどの影響を受けないのではないか......そんな考えもあったが、正反対の結果となった。

イチロー(オリックス/2000年成績:打率.387、12本塁打、73打点)
移籍前(2000年)=64勝67敗4分(勝率.489/パ・リーグ4位)
移籍後(2001年)=70勝66敗4分(勝率.515/パ・リーグ4位)

岩村明憲(ヤクルト/2006年成績:打率.311、32本塁打、77打点)
移籍前(2006年)=70勝73敗3分(勝率.490/セ・リーグ3位)
移籍後(2007年)=60勝84敗(勝率.417/セ・リーグ6位)

西岡剛(ロッテ/2010年成績:打率.346、11本塁打、59打点)
移籍前(2010年)=75勝67敗2分(勝率.528/パ・リーグ3位→日本一)
移籍後(2011年)=54勝79敗11分(勝率.406/パ・リーグ6位)

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