2022年の藤浪晋太郎は「ここが違う!」。阪神OB・岩田稔が解説「完璧はもとめなくていい」 (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • photo by Koike Yoshihiro

4年目以降、苦しんだ理由

── 藤浪投手といえば、腕の長さが武器であると同時に、ピッチングを困難にしている印象があります。

「ピッチャーにとってリリースを安定させるのは永遠のテーマですし、ここがうまくいけば納得するボールを投げられるのですが......これが本当に難しい。藤浪は腕が長い分、操るのも簡単ではないと思いますし、彼にしかわからない苦労があったはずです。僕らが想像する以上に大変なことだと思いますが、それでも藤浪はあきらめずに理想のフォームを追い求めてきた。そこは単純にすごいヤツだなと思いますね」

── 春夏連覇を達成した高校時代、プロ入り後も3年目までは2ケタ勝利を挙げるなど、ピッチングに苦労しているようには見えませんでした。

「高校時代もコントロールに苦しんだ時期はあったと聞きましたが、その時はシンプルに投げることができていたのかなと思います。それがプロに入ると、いろんな知識も入ってくるし、考えることも多くなる。それ自体はすばらしいことですし、より上のレベルを目指すのであれば必要不可欠なことではありますが、ちょっと難しく考えすぎていた部分があったのかなと。それに体も大きくなって、これまでと同じようにいかなくなった。いろいろなことが一気に降りかかってきて、バランスを崩してしまったように思います」

── もっとシンプルに考えてもよかったと?

「それはそうなんですが......やっている時は目の前のことに必死ですからね。藤浪自身、もっとよくなりたいと思ってやったことですし、そこは仕方ないことだと思います。ただ、藤浪のすごいところはバランスを崩しながらも、大きなケガがないこと。体の強さというのは藤浪の才能ですし、しっかりトレーニングを積んでいるなによりの証拠だと思います」

── 今シーズンの藤浪投手にどんなことを期待しますか。

「最後までローテーションを守ってほしいですよね。開幕戦のピッチングを続けていけば、自ずと勝ちはついてくると思いますし、2015年以来の2ケタ勝利も十分期待できます。そのために、『完璧を求めなくていいよ』とアドバイスしたいですね。別に相手を0点に抑える必要はありません。開幕戦のように7回3失点でいい。先発として、まずはしっかりと試合をつくることを考えてほしいですね。あれだけ球威のあるボールがあるわけですから、ストライクゾーンにいけばそう打たれることはありません。今の藤浪ならそのピッチングができるはずです。チームが上位争いをするためには、藤浪の力は絶対に必要です。そのためにもまずは1勝して、乗っていきたいところですね」

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