阪神OB藪恵壹が解説。球団ワーストタイの開幕5連敗、監督の退任公表など阪神でいま起きている問題とは?

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • photo by Sankei Visual

── このポジションが決まらないと、なかなかシーズンを戦っていくのは厳しい?

「逆算して考えますからね。9回はある程度計算できないとしんどいと思います。少なくとも8、9回は確立したい。個人的には、8回を湯浅、9回を岩崎に任せるのかいいのかなと。もちろん、シーズン途中でポジションを替えるのはありだと思います。ただ、今はとにかくチームを落ち着かせることが最優先ですので、岩崎をクローザーとして起用するのがいいんじゃないかと思いますね」

サトテルの4番は正解か?

── 打線のほうはどうですか? 開幕戦こそ8得点しましたが、2、3戦目は完封負けを喫しました。

「3月30日の広島戦で大山悠輔を5番に置きましたが、それまではずっと7番でした。正直、大山を7番に置く意味がわからなかった。4番に佐藤輝明、5番に糸原健斗、6番に糸井嘉男と、左打者が3人並んでいました。これだと試合終盤の大事な局面で左投手をぶつけられる。相手にすれば作戦を立てやすくなってしまいますから」

── 開幕から4番は佐藤選手が務めています。

「長打力は一級品ですし、間違いなく阪神を背負って立つ選手です。とはいえ、まだ2年目の選手。昨年は24本塁打を放ったとはいえ、シーズン173三振を喫したように"脆さ"がある。ヤクルトの村上宗隆のように、誰もが認める成績を残してから4番に置いてもいんじゃないかと思いますね。つかんだのではなく、与えられた4番なので、打てなくなった時に変にプレッシャーを感じてしまわないか心配です」

── 今年の阪神で言うと、シーズン前に矢野燿大監督が今季限りでの退任を公表しました。賛否あると思いますが、藪さんの率直な意見はどうですか?

「『なんで?』というのが正直な感想です。選手たちは平然を装っていると思いますが、いろいろ考えると思いますよ。『監督のために』という選手はいるでしょうが、なかには矢野監督とソリの合わなかった選手もいたはずです。起用ひとつとっても、いろんなことを考えてしまうんじゃないかと。そういうなかで"チーム一丸"というのは難しい。ましてやこのように連敗を喫してしまうと、余計にそのことにスポットが当たってしまう。結果論かもしれませんが、この前代未聞の公表は悪いほうに向かってしまいましたね」

── とはいえ、まだ5試合です。これから戦っていくうえで重要になるのはどんなことでしょうか。

「矢野監督の開幕前の退任公表もそうですし、佐藤の4番、ケラーのクローザー抜擢など、"うまくいったらいいな"というなかでの発進だったのではないかと......。ただ、いまさらそのことを悔いても仕方ないので、とにかくどう立て直すのかを考えないといけない。まずは青柳晃洋が戻ってきて、しっかりエースとして機能することだと思います。柱がしっかりすれば、自分たちの戦いができるはずです。まだシーズンは始まったばかりですので、変に焦らず試合に臨んでほしいと思います」

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