巨人・ウィーラーが明かす楽天からの移籍話。クロマティからもらった活躍へのアドバイス (3ページ目)

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Koike Yoshihiro

「チーム関係者からトレードになったと伝えられたのですが、仙台に戻ってから行き先を尋ねても、その時はどこの球団なのか教えてもらえませんでした。大宮から仙台に向かい監督に会うと、読売ジャイアンツに移籍すると言われ、また東京に戻らなければいけなくなりました。最後に監督に会うのは大事なことだとは思いますが、さすがに行ったり来たりするのは......。楽天のチームメイトと仙台の街が大好きだったので、最初はショックでした。でも、結果的に巨人に移籍してよかったと思っています。原(辰徳)監督の起用法と私のアピールポイントがピッタリ合うのです。今はとてもハッピーです」

 昨年は121試合に出場して、打率.289、15本塁打、56打点の成績を残すなど、存在感を示した。

 そんなウィーラーにとって、原監督以外にもうひとり重要な人物がいる。それが1984年から7年間、巨人で活躍したウォーレン・クロマティだ。彼はウィーラーが移籍してきた2020年シーズンまで巨人とアドバイザー契約を結んでいた。1989年にセ・リーグ首位打者に輝いたクロマティは、ウィーラーにこんなアドバイスを送った。

「逆方向(ライト)に鋭い打球を打つアドバイスをくれたんです。楽天の時から、なぜかどんどん引っ張りのバッティングになって、いつのまにかクセがついていました。それを矯正しようと、逆方向のバッティングを練習しました。もともと私はそういうバッターだったのですが...ミスター・クロマティのおかげで、巨人に移籍してから修正することができました」

 クロマティの日本での通算成績は打率.321、171本塁打、558打点など、すばらしい数字を残している。ウィーラーがクロマティの記録を抜くのは並大抵なことではないが、唯一目前に迫っているものがある。それが盗塁で、ウィーラーがあと5つ成功すればクロマティの26を上回る。とはいえ、2017年に自己最多の7つを記録しているが、翌年からは4年連続して3盗塁......この記録のことを伝えると、178センチ、100キロのウィーラーは笑顔でこう返した。

「できますよ。それは絶対にできます! 今シーズンじゃなくても、来シーズンは絶対に超えられます」

"来シーズン"という言葉は気になるが、チームの勝利のためには何でもやる男である。8年もマイナーでプレーした明るい苦労人は、今やチームにとって欠かせない存在となっている。

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