巨人・ウィーラーが明かす楽天からの移籍話。クロマティからもらった活躍へのアドバイス (2ページ目)

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Koike Yoshihiro

 そんなウィーラーに夢のような報告が届いたのは2014年7月。

「ヤンキーストリプルAの遠征先でのダブルヘッダー中でした。1戦目、ネクストバッターズサークルで準備をしていると、突然監督に呼ばれ『早くベンチに下がれ』と言われました。『えっ?』と思ってベンチに戻ったら、裏の通路に連れていかれ『昇格したよ、おめでとう。ミネソタでヤンキースに合流するので早く準備しろ』と。そのまま試合には戻らず、ロッカーで荷造りして、ホテルに戻りました」

 翌日の7月3日、ツインズの本拠地であるターゲット・フィールドでの試合で、ウィーラーは「8番・サード」でスタメン出場を果たしたのだった。このウィーラーのデビュー戦は「7番・ライト」でイチロー、先発投手が田中将大という、なんとも日本と縁を感じるオーダーだった。

 ウィーラーの見せ場はいきなりやってきた。1回裏一死一塁のピンチで、3番打者がライトへ長打を放ち、一塁走者が生還する間に打者走者が三塁へ向かう。キャッチャーからの送球は大きく逸れたが、これをウィーラーが好捕。するとベースカバーに入ったレフトの選手にボールを送り、打者走者はタッチアウト。スコアには「9-4-2-5-7」という、じつに稀なアウトが記された。

 メジャーデビュー戦の見せ場はこれだけではなかった。5回の第2打席でメジャー初ヒットとなる左中間へのソロホームラン。マー君の12勝目に大きく貢献した。守備でも打撃でも活躍したメジャーデビュー戦の思い出は何かと尋ねると、ウィーラーはこう答えた。

「8年の準備です」

 華々しいデビュー戦を飾ったウィーラーだったが、結局29試合で打率.193、2本塁打の成績に終わり、シーズンオフに楽天に移籍することになった。

クロマティ超えなるか?

 2015年から楽天でプレーすることになったウィーラーだが、日本でも突然の通告が待っていた。2020年6月25日、大宮(埼玉)での二軍戦の試合後にトレードの噂が飛び始めると、その翌日朝に球団から連絡があった。

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