真中満のパ・リーグ順位予想「言い方は悪いが5強1弱」。優勝は「大化けの可能性がある」ルーキー2投手がいるチーム (3ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Kyodo News

打線の高齢化がソフトバンクの懸念材料

ーー3位は楽天です。その理由は? 

真中 田中将大、岸孝之、涌井秀章、そして開幕投手を務める則本昂大。先発陣にこれだけ名前と実績のある投手がそろったチームはないですよ。昨年のマー君は4勝9敗と黒星先行だったけど、内容は決して悪くなかった。プロ2年目の早川隆久もいるし、瀧中瞭太も計算できる。先発が5枚、6枚もそろっているチームはやっぱり強いですよ。抑えの松井裕樹も含めて、投手力には何の心配もない。

ーーとなると、課題は打線ということになります。

真中 投手陣の充実ぶりと比較すると、どうしても打撃陣には不安は残ります。浅村栄人以外の長打力不足は新外国人頼みになるけど、この点は開幕してみないと未知数。期待が持てるのは西川遥輝の加入で、鈴木大地と足をからめた攻撃が可能になったこと。浅村が復調して、新外国人が機能すれば、さらなる上位進出も可能ですね。

ーー続いてBクラスに移りますが、4位は昨年優勝したオリックスですね。

真中 オリックスの先発陣は質量ともに充実しています。山本由伸がいて、宮城大弥、田嶋大樹、山﨑福也、山﨑颯一郎がいて、山岡泰輔も戻ってくる。そうなると、平野佳寿、増井浩俊、比嘉幹貴といったベテランリリーフ陣の負担を軽減できる若手リリーバーが登場できるかどうかがポイントになると思います。このあたりが改善できれば上位進出も可能でしょう。

ーーそして、近年圧倒的な強さを誇っていたソフトバンクが5位。その心は?

真中 ソフトバンクは間違いなく力があります。ただ、打線が高齢化しつつあるのが気がかり。今年39歳になる松田宣浩は衰えつつあるし、今宮健太は故障がちで、デスパイネ、グラシアルも30代後半に差しかかっている。そうなると柳田悠岐への負担が大きくなるのが懸念材料です。オリックス同様、下位打線がちょっと劣るんですよね。

ーー話題のリチャード選手はいかがですか? 

真中 王貞治会長が直々に指導するほどの逸材であるのは確かだけど、まだレギュラーとして「3割、20本塁打」というイメージはわかないよね。まだまだ粗さもあるので、経験を積みながら数年後にブレイクするのが現実的で、今年はまだ早い気がします。ただ、藤本博史新監督になってチームの雰囲気は変わるだろうし、抜てきされる選手も出てくる可能性があるのでその点は注目したいですね。いずれにしても、ソフトバンクには以前のような絶対的な強さはなくなっているから、セ・リーグ同様、パ・リーグも混戦模様になると思います。

(ヤクルトの展望を語る後編へつづく)

【プロフィール】 
真中満 まなか・みつる 
1971年、栃木県生まれ。宇都宮学園、日本大を卒業後、1992年ドラフト3位でヤクルトスワローズに入団。2001年には打率.312でリーグ優勝、日本一に貢献した。計4回の日本一を経験し、2008年に現役引退。その後、ヤクルトの一軍チーフ打撃コーチなどを経て、監督に就任。2015年にはチームをリーグ優勝に導いた。現在は、野球解説者として活躍している。

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