即戦力ルーキーは誰だ? 防御率1点台、打率3割超えなどオープン戦で光った逸材をチェック (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by 産経新聞社

 野手では3位で中村健人(トヨタ自動車)と6位で末包昇大(すえかね・しょうた/大阪ガス)とふたりの右打ち社会人外野手を獲得。首脳陣からとくに高い期待を背負ったのが、188センチ110キロの巨漢スラッガー・末包だった。

 キャンプ中に類まれな飛距離をアピールしてチャンスをつかむと、オープン戦では4番打者で起用された時期も。16打席ヒットが遠ざかる逆境も味わいながら、最終的にオープン戦16試合で打率.177、1本塁打に終わった。貴重な一軍での出場経験を今後の糧にできるか。スラッガーの育成には時間がかかると言われるが、末包は今年で26歳になるだけに早めに結果が求められる。

 巨人では1位の大勢(翁田大勢/おうた・たいせい/関西国際大)と3位の赤星優志(日本大)が結果を残し、早くも一軍戦力になりそうだ。

 大学時代から本人も認めるほどリリーフ適性が高いと見られた大勢だが、原辰徳監督はドラフト指名直後に先発完投型投手への願望を口にした。原監督の意向を受け、大勢は「与えられた役割を果たしたい」と殊勝に語ったが、結局プロではリリーフとしてスタートすることになった。横手に近いスリークォーターから放たれる最速157キロのクセ球と、高速で落ちるフォークでブルペン陣に新風を吹かせそうだ。

 赤星は大学時代から引き出しが多く、ゲームメイク力が高い右腕だった。プロ入り後、キャンプでの調整を通して大学時よりも平均球速が向上。オープン戦では先発として4試合17回を投げ、防御率1.06と大活躍。開幕一軍ローテーション入りをほぼ確実にしている。

 戦慄が走ったのは、日本ハム8位の北山亘基(京都産業大)の快投ぶりだ。オープン戦では最速156キロの快速球に、一級品のフォークで奪三振を量産。一躍、クローザー最有力候補にのし上がった。

 大学時代は先発投手として、長いイニングを破綻なく投げきるタイプだった。年を追うごとに球速は上がっていたとはいえ、完成度の高さが仇となり下位指名に落ち着いたと見られる。そんな経緯があるだけに、変貌ぶりには驚かされるばかりだ。

 さらに衝撃は続く。日本ハムの新庄剛志監督は、開幕投手に北山を指名。オープン戦では最長2イニングしか投げておらず、開幕戦はショートイニングを任せる「オープナー」の可能性もある。ルーキーはただでさえ自分自身のことで手いっぱいのはずで、思わぬ大役に一抹の不安を覚えてしまう。それでも、新庄監督の高い期待が実ることを祈りたい。

 また、日本ハムではドラフト3位の内野手・水野達稀(みずの・たつき/JR四国)もオープン戦で打率.323、1本塁打と好結果を残した。この勢いを持続できるか、見守りたい。

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