日本ハム・新庄監督は誰を開幕投手に指名するのか? 優勝ジンクスにサプライズ指名、記憶に残る開幕投手たち (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Kyodo News

 巨人の江川卓と西本聖は1年おきに各4度ずつ開幕投手を務めているが、江川が投げた年は1回も優勝しておらず、西本が投げて勝利投手になった1981年、83年、87年はすべて優勝とゲンがいい。

 ゲンがいいと言えば、西村龍次はヤクルト、ダイエーで計5回開幕投手を務めたが、そのうち4度(1992年、93年、99年、2000年)がリーグ優勝。「西村が開幕戦に先発すると優勝できる」というジンクスがあった。

 対照的に、現在DeNAの監督である三浦大輔は「開幕戦7戦全敗」という不名誉な記録を持っている。

 ヤクルトの監督時代、野村克也は「開幕戦は単なる1試合ではない。勝てば勢いに乗れる。シーズンを占う大事な1試合」と語っていた。それを象徴したのが1997年の巨人との開幕戦だ。

 前年、ヤクルトは斎藤雅樹にシーズン0勝6敗と惨敗を喫した。しかも斎藤は、1994年から96年まで「3年連続開幕戦完封」という離れ業を成し遂げている。

 そんな斎藤に対し、ID野球を標榜する野村監督は「カウント3ボール1ストライクになると、左打者には外角のカーブでカウントをとりにくる」ことを突きとめた。この試合で5番に抜擢された小早川毅彦が1試合3本塁打を放って快勝。余勢を駆ってこの年、ヤクルトは巨人に19勝8敗と大きく勝ち越し、ビクトリーロードをひた走った。

過去にあったサプライズ開幕投手

 意表をついた開幕投手では、2004年の中日が真っ先に頭に浮かぶ。就任1年目の落合博満監督は、実績ある山本昌でも野口茂樹でも川上憲伸でもなく、前年登板なしの川崎憲次郎に開幕のマウンドを託した。

 川崎は2回途中で降板したが、チームは逆転勝利を収め白星スタートを飾ると、勢いそのままに2位・ヤクルトに7.5ゲーム差をつける圧勝劇でペナントを制した。

 ルーキーの開幕投手は、プロ野球黎明期は数多くいたが、ドラフト制度導入(1965年)以降では1984年の高野光(ヤクルト)と、2013年の則本昂大(楽天)のふたりしかいない。則本は、開幕前に開催されたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に絶対エースの田中将大が参加したため、急遽大役が回ってきたものだ。

 ともに開幕戦こそ勝利できなかったものの、高野は10勝をマーク、則本は15勝を挙げ新人王を獲得した。

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