DeNA森敬斗「なぜ結果が出ているかはわかっていなかった」。昨季30打席無安打を糧にレギュラー奪取へ (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by 産経新聞社

3年目の決意。積極的な盗塁にも注目

 その気持ちをリアルな現実にするのが3年目の今シーズンになる。

 高卒上がりの選手のなかには1年目から活躍する怪物もいるが、3年目で頭角を現してくる選手も多い。イチローは3年目にして200本安打を達成し、山田哲人(ヤクルト)も2年目に試合に起用されることが増え、その課題をオフに解消することで3年目に開花した。森もオフを含め、自主トレ期間中もウィークポイントの解消と改善に取り組んできた。

「レギュラーをとるには、バッティングも走塁も大事ですが、一番は守備力だと思うんです。昨年のオフからグラブさばき、捕球時の姿勢など基礎的なことに取り組んできました。僕の場合は、捕球する際、膝が伸びて上からボールを見てしまうので、しっかり腰を落とし、下半身を安定させて捕ることを意識しています。難しいですが、感覚的にはよくなっていると思います」

 バッティングも石井琢朗コーチになり、練習量が増えた。

「石井さんがきて、バットを振る時間が増えました。若手は全体練習が終わったあと、毎日バットを振る時間が確保されています。試合がない時は1000回以上振っていました。手の皮がむけてべろんべろんになっていましたが、そのくらいやらないと僕の目標である1番、2番、3番のどこかを打つことはできないと思っています」

 森が上位打線を打てるようになれば、ベイスターズの機動力が向上する。足を絡めたバッティングや四球など出塁率が上がれば、相手にプレッシャーを与え、チームにとっては作戦のオプションや得点のチャンスが増えてくる。もちろん、盗塁でも森の50m5秒8の俊足が活かされるだろう。

 昨年のベイスターズのチームでの盗塁数は31で、盗塁王に輝いた中野拓夢(阪神)の30盗塁とほぼ変わらない。三浦監督は足を活かした攻撃に物足りなさを感じており、森への期待が膨らむ。

「足は誰にでもあるものではないですし、技術も必要ですが、ひとつでも多く塁を奪い、盗塁の成功率も高めていきたいですね。そのためには、毎回同じスタート、同じ走路、同じスライディングが必要で、それができればより安定した盗塁ができると思います。あと、最後は気持ちですね」

 森は昨年、盗塁をする際、迷いが生じることが多かったと言う。

「たとえば、このカウントだから次は変化球がきそうだなって思うじゃないですか。でも、そこで思いきってスタートがきれず、実際に変化球で外れて走っていたらセーフだったなとか、ここはいけたなとか、スタートをきれないことが結構ありました。勇気を持って1歩目のスタートがきれるかが重要ですが、今年は躊躇せずにいきたいと思っています」

 横浜ベイスターズとしての盗塁の球団記録は石井琢朗で45盗塁(96年)、横浜大洋ホエールズだと屋鋪要で58盗塁(85年)、大洋ホエールズまでさかのぼると宮崎剛の61盗塁(50年)になる。セ・リーグでは、10年に梵英心(広島)が43個の盗塁王を獲得して以来、40超えの盗塁数は出ていない。昨年、盗塁王の中野は30個だったが、まずはその数字を狙っていくことが現実的になる。

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