DeNA東克樹「えっ、このタイミングで?」。突然の通告に「開幕投手は正装してホテルに呼び出されるのかと...」 (3ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Isizuka Takashi
  • photo by Sankei Visual

「このオフで3キロほど筋量が増えたので、トレーニングの成果が出たと思います。けど筋肉をつけるだけでは意味がないので、キャンプではそれを馴染ませるというか、下半身と連動させるように試行錯誤しました。とくに上半身と下半身のジョイントとなる捻転のところで、体の開きが早くならないよう、そこは一番意識してやってきました」

 身長170センチと小柄な東ではあるが、マウンド上で見せる姿は以前よりも大きく感じられるはずだ。

勝利することで恩返ししたい

 さて3月25日の横浜スタジアムの開幕戦、対戦相手となる広島の先発はエースの大瀬良大地だ。2年前の開幕戦では、大瀬良に9回1失点と完投勝利を許している。シビアな投げ合いが予想されるが、東は強気だ。

「大瀬良さんがゼロで抑えていたら、僕もゼロで抑えれば負けないと意識しながら投げたい。とくに初回を大事にしたい。あと重要なのはリズムだと思います。ピッチングでいいリズムをつくって、味方の攻撃につなげる。今のベイスターズ打線は得点力があるので、ピッチャーとしてすごく強みというか励みになっています。足もあれば長打もある。相手ピッチャーの目線で見たら本当に嫌な野球をしていると思いますね」

 独特な雰囲気がある開幕戦。経験した人間にしかその難しさはわからないというが、東は昨年開幕投手を務めた濱口遥大からアドバイスを受けたという。

「気持ちの部分はもちろんなのですが、ほかにも開幕戦はセレモニーなどがあるので、状況をきちんと把握しながら逆算をして準備をしたほうがいいと言われました。当日の想像ですか? はい、しましたね。たくさんファンの方がハマスタに訪れるでしょうし、1年目に見た開幕戦の情景を思い浮かべました」

 遠くを見つめるようにそう語った。

 いよいよ熱狂のシーズンが始まろうとしている。東は栄誉ある開幕投手を務めることになったが、これまでを振り返って脳裏に浮かぶのは、TJ手術のリハビリという過酷な日々を乗り越えてきたことだ。サポートしてくれた家族や関係者に、勝利することで恩返ししたいと東は言う。

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