奥川恭伸がメジャーの偉大な大投手から学ぶエースの哲学「勝つことよりも負けないこと」

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

── シーズンに入っても、自分のフィーリングを大事にした調整をするのですか。

「はい。投げることに関してはそうしていきたいと思っています」

── 基本的にメジャーは中4日でローテーションを回すのに対し、日本では中6日が定着しています。グラビンは登板間隔について「腕を休ませすぎると状態がよくなりすぎて、力をうまくコントロールすることが難しくなる。それに間隔が空きすぎると精神面のコントロールも難しい」と話していました。

「昨年は(ほぼ中10日で回ったことで)メンタル面の難しさを少し感じました。今年はどうなるかまだわからないですけど、間隔が短いとまだ違った問題が出てくるかもしれません。1年間を同じサイクルで回るので、気持ちの持ち方はすごく大変かなと思います。調子のいい日、気分が乗らない日......そういう波は必ずあるので、気持ちも体も調整は難しいとあらためて感じています」

腕を使わず、体の中心部を使う

── 先発の球数制限について、マダックスは「アイデアとしてはいいかもしれないけど、自分はリミットをつくらない。試合によってコンディションや相手打線も違うわけだし、なにより体の構造は人それぞれだから」と語っていました。

「今は(先発投手の)100球リミットが、野球界のなかで完全に定着しているというのは事実なので、僕としてはそのなかで1イニングでも多く投げたいという気持ちはあります」

── そのために球数の少ないピッチングを意識している?

「そのためではないですね(笑)」

── またマダックスは「大事なのはリリースポイントを常に一定にすること。それを継続させることができれば、投手生命は自然と長くなる」とも言っています。

「おそらく、その話は(マダックスが考える)投手生命を長くすることのほんの一部だと思うんですけど、ケガをしないためには絶対に必要なことだと思います。リリースポイントが一定ということは、いいフォームで投げられているということなので、いくら投げても体に負担がかからない。リリースポイントにばらつきがある投げ方になるのは、どこかおかしいということなので」

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