阪神・江越大賀「12球団で一番もったいない選手」返上へ。ラオウ杉本との自主トレで8年目の覚醒となるか (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Koike Yoshihiro

 2月16日のシート打撃では岩貞祐太から本塁打を放つなど、長打を連発。2月20日の中日との練習試合では、決勝打となる適時三塁打。2月27日のヤクルトとのオープン戦ではレフトオーバーの本塁打を放った。

 充実した日々を過ごすなか、江越はこんな強い言葉を口にする。

「今年にかける思いは今までと全然違うので。今年が最後になってもいいくらいの気持ちで、自分のバッティングの形をつくれるよう、必死にやっています」

言われたことをただやっていた

 なぜ、ここへきて眠れる大器は目覚めつつあるのか。その謎を解く前に、悪戦苦闘の7年間について振り返ってもらった。江越は「何をしていいのかわからない時間だった」と明かす。

「いろんな方にアドバイスをもらっても、自分では考えずに言われたことをただやっているだけ。その結果よくなっても、なんでよくなったのかはわからない。だから調子が悪くなった時に、自分の力で戻せなくなる。ずっとその繰り返しでした」

 首脳陣からの勧めでスイッチヒッターに転向した時期もあれば、バットを寝かせてコンタクト重視の打撃を目指した時期もあった。だが、江越は助言の裏にある真意を汲み取れないまま、ただ指示に従うだけ。江越には、プロ野球選手として自分自身を貫く確固たる「芯」がなかった。

「結果が出なければまた二軍に落とされる。そんなことばかり考えていました」

 このままでは自分の野球人生は終わってしまう。危機感を募らせた江越に、親身になってくれるチームメイトがいた。昨季まで阪神に所属したジェリー・サンズである。

 サンズは江越にこんな助言を送っている。

「オリックスの杉本(裕太郎)のスイングを見たほうがいい」

 江越にとって杉本は1学年上で、東都大学リーグでしのぎを削った仲でもある。杉本と自分には共通点があると江越は気づいた。

「杉本さんはプロに入ってから『当たれば飛ぶ』と言われながら打率を残せずにいて、そこは自分に似ているなと」

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