DeNA大田泰示「簡単にわりきれるものではなかった」。日ハムとの別れと新天地での決意を語った (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by 産経新聞社

「シンプルに強く振る」練習で成果を

 菅野は昨シーズン、6勝7敗と過去ワーストの成績だった。大田も不本意なシーズンを過ごして、自由契約に至った。ともに今シーズンは、再起を賭けることになる。そのために、大田は昨年を振り返り、バッティングにおけるベースの作り直しに着手した。

「昨シーズン、バッティングがよくなかったのは、根本的に自分のバッティングを見失っていたからです。打つ時のスタンスがこうでとか、構えはこうでとか、細かいところに目が行きすぎて、本来の自分のよさであるアグレッシブなバッティング、シンプルに強く振るというバッティングができなかった。その反省を活かして、今年は枝葉の部分を気にするよりも、自分本来のバッティングにつながる回転する軸や軸足、シンプルにボールを強くはじき返すことを意識して練習に取り組んできました」

 たとえば、メディシンボールを使って軸足に体重を乗せる動作を繰り返すなどして、軸足で体重移動する時の粘りを取り戻す練習を続けてきた。そのタイミングのずれが昨年の不調の一端になっていたからだ。

「それは、自分のバッティングのドリルみたいなものですけど、その反復を行なうことで軸足に体重を乗せて前足のステップする時間をうまく作るようにしています」

 早くもその練習効果が表れている。練習試合では4番に座り、バッティングで低く、早い打球が飛ぶようになっている。イメージどおりのバッティングができている感があるが、本来の長打力が活きてくればライバル争いでも優位に立てる。というのも今のベイスターズの外野のレギュラー競争は非常に激しいからだ。佐野恵太、桑原将志、タイラー・オースティンという鉄板ともいえる3人が外野のレギュラーポジションを占めている。

「レギュラー争いは、どこに行ってもあるものなので気にしていません。確かにベイスターズの外野は本当にいい選手ばかりで層が厚いんですけど、選手のカラーがあると思うんです。桑原には桑原にしかできないことがあるし、僕には僕にしかできないことがある。僕にできること、僕のカラーは思いきりのよさ、アグレッシブさ、全力でのプレーだと思うので、それを出せるように、そして濃くできるようにひたむきに、がむしゃらにやっていくだけですね」

 ペナントレースは長いシーズンになる。そのなかで大田の出番は少なくとも昨年よりは増えるだろうし、活躍すれば、必然的にレギュラーも見えてくる。注目は、新庄剛志監督が率いる古巣・日本ハムファイターズとの交流戦だろうか。5年前、ファイターズに移籍したあと、巨人との交流戦で大田はマイルズ・マイコラスからヒットを放ち、波に乗った。「すごく緊張していたけど、あの1本で肩の荷が下りたというか、気持ちがラクになった」と語るように余裕を持って打席に入れるようになり、巨人戦は10打数7安打2本塁打と大活躍、そのシーズンはレギュラーとして活躍した。今年も交流戦でいい結果を出せれば、その勢いでシーズンを突っ走っていく可能性は十分にある。

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