斎藤佑樹が振り返る幼少時のほろ苦い記憶「せっかく野球を始めたのに...1球でやめました」

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta

 家では父がジャイアンツ戦をテレビで観ていました。でも僕は、野球は観るよりやるほうが好きでしたから、プロ野球にはあんまり興味を持ちませんでしたね。テレビといえば何と言っても『名探偵コナン』(原作:青山剛昌)です。月曜の夜7時半から30分。これだけは絶対に見たくて、親から「そんなの見てないで勉強しなさい」「野球の練習をしなさい」と言われないよう先手を打って、「これだけは見ないと周りに取り残されるんだ」「話についていけなくなっちゃうといじめられるかもしれない」などと言いながら、毎週、欠かさず見ていました。コナンは1話完結だったので、僕に合っていたんでしょうね。

 たまに1話で話が終わらなくて後編は次週、みたいな回があるとそれが嫌で、つまりは子どもの頃からどれだけ気が短かったんだ、という話です(笑)。ターボエンジンつきのスケボーに乗ったり、腕時計型の麻酔銃を撃ったりするコナンが大好きでした。

【クリスマスプレゼントに1万円】

 スケボーや麻酔銃の話で思い出しましたけど、僕のところにサンタクロースが来てくれたのは小学1年生の時が最後だったんです(笑)。というのもその頃、『少年サンデー』に『YAIBA』って漫画が載っていて、すごく好きでした。コナンと同じ青山剛昌先生の、剣の漫画です。鉄刃(くろがね・やいば)という主人公が、刀の柄の部分に火の玉、水の玉といった伝説の玉を入れるんです。そうすると火の技や水の技が使えるようになって、だから刃はその玉を集めて敵と戦うというストーリーで、僕はアニメも見たし、兄が集めた漫画も読みました。

 で、サンタクロースの話に戻ると(笑)、その『YAIBA』の剣のおもちゃが欲しくて、僕、サンタクロースにお願いしたんです。そうしたら父に「佑樹、もっと身になるものをお願いしなさい」と言われて、ああ、剣はもらえないのかな、と思って迎えたクリスマスの朝。起きたら枕元には剣じゃなくて、1万円が置いてあった(笑)。そしてそれっきりサンタクロースは来なくなりました。

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