又吉克樹を獲得したソフトバンクGMに聞いた。FAでは「高値であっても確実に獲りにいく場合もある」

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

【昨季リーグ4位に沈んだ理由】

「トップ選手の年俸格差には問題意識を持っています。どういうチャレンジをしていくかは大きなテーマのひとつです」

 三笠GMはこう話したうえで、それでも世界一を目指す道はあると断言する。

「サッカーで言うと、プレミアリーグやスペインリーグに比べてブンデスリーガはそんなに年俸が高くなかった頃、チャンピオンズリーグで優勝していたわけです。年俸格差は問題のひとつであるけれども、それを解消しなければ世界一になれないということではない。リーグの制度、選手や育成環境の質。いろんなことを総合的に見て、ホークスを世界一にすることを考えていきたい」

 2017年から4年連続日本一に輝き、前人未到の10連覇を目指したソフトバンクだが、昨季はリーグ4位に沈んだ。中日の落合博満元監督がテレビ番組で指摘したように、充実した戦力を誇りながらも自らつまずいたような印象だった。

 三笠GMはこう振り返る。

「統計的に言えば、27〜29歳くらいの選手が主軸になっているチームが、平均的にパフォーマンスが高いという考えが足りなかったということです。その世代の人材不足もあります。これまで成功している選手が、今年も成功すると思いすぎたことはあったと思います」

 一般的に、プロ野球選手のピークは27〜29歳頃とされる。ちょうどこの年齢に差しかかっているのが、三軍制を始めた2011年に育成選手として入団した千賀滉大や甲斐拓也だ。"無名選手"を大きく育て上げるアプローチは軌道に乗っている一方、とりわけ野手陣の世代交代は長年の課題だ。

 FAはそこを補う手段にもなり得るが、球団の方針はどう定められているのか。

「明確な基準はないですが、FAで獲ると基本的に複数年契約になるので、年齢というファクターはかなり大きいですね。又吉君はポジション的にあと4年くらい活躍してくれるものと考えています。内川君(聖一/ヤクルト)、浅村君(栄斗/楽天)、西君(勇輝/阪神)のように高卒で早いうちから働いて27、28歳くらいでFAになるのであれば、かなり獲得価値がある。逆に33歳くらいでFAになると、二の足を踏むのは一般論としてあると思います」

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