新庄監督は名将の器⁉︎ 破天荒発言に隠された野村克也や落合博満と符合する野球観 (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Kyodo News

 その一方で、野村が南海入団時の監督は鶴岡一人だった。プロで通用しなかったら故郷に戻って高校野球の監督になりたいと考えていた野村は、とにかくプロでどんなことを学べるのかを楽しみにしていた。ところが、軍隊帰りの鶴岡は何かあればビンタ、正座、そしてすべて結果論でモノを言う。気力、根性を重視する精神野球に嫌気がさした野村は、「考える野球」を標榜するようになった。

【4番に俊足の左打者の根拠】

 さて、新庄監督である。現役時代は日米通算1714試合に出場し、通算1524安打、打率.252、225本塁打、816打点、82盗塁の成績を挙げ、さらにベストナイン3回、ゴールデングラブ賞10回を獲得。

 ゴールデングラブ賞10回というのは、50年の歴史でもベスト3に入る受賞歴である。

12回=福本豊(阪急/外野手)
11回=伊東勤(西武/捕手)、秋山幸二(西武/外野手)
10回=古田敦也(ヤクルト/捕手)、駒田徳広(巨人・横浜/一塁手)、山本浩二(広島/外野手)、新庄剛志(阪神・日本ハム/外野手)

 守備に関しては、間違いなく超一流である。当然、守備には相当なこだわりを持っており、監督就任直後の秋季キャンプでもその一端を垣間見ることができた。

 新庄監督はノックバットを手にワゴン車の上に乗り、「これより低く、強い球で遠くに投げなさい」と、送球の高さを指示した。

 送球が高く逸れ、内野のカットマンが捕球できないと、二塁走者の生還を許すだけでなく、打者走者の二塁進塁を許し、再度得点圏にランナーを置いてしまうことになる。

 そうでなくてもコリジョンルールが導入されてから、捕手はブロックができなくなり、本塁突入時にセーフになる確率は以前よりも確実に上がった。そのため、守備の重要性がより求められることになった。

 現役時代の新庄監督は強肩もさることながら、投手の決め球、打者のスイングから割り出した "ポジショニング"のうまさにも定評があった。当然、日本ハムの選手にも守備に関しては高い意識とレベルを求めるはずだ。

 攻撃については、昨年12月に「4番は俊足の左打者、強打者は6番に置く」と発言。これにも新庄監督なりの意図がある。

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