石川雅規は「こんなに小さくて大丈夫か?」から現役20年。八重樫幸雄が指摘する体の強さと活躍の要因 (2ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

【貪欲にアドバイスを求めてくる向上心】

――それで、八重樫さんはどんなアドバイスをしたんですか?

八重樫 僕が見ていて、中日戦では左バッターにホームランを打たれている印象があったんです。立浪(和義)とか、左バッターの肩口から入ってくるスライダーを狙い打たれていた。だから、「スライダーを生かすには、インコースのストレートを磨かなくちゃいけないよ」と言いました。長打が減れば、失点もかなり防げる。そうすれば、白星を拾うことも増えてくる。そんな内容でしたね。確か大阪だったかな......プライベートの場で話した記憶があります。

――その後、改善されましたか?

八重樫 どうかな(笑)。インコースのストレートを意識するようになったとは思うけど、やっぱり甘く入ったスライダーは打たれますよね。あとはバッティング、バントについてもいろいろ聞かれましたよ。

――それは、どんな内容だったんですか?

八重樫 石川って、すごくバントが上手じゃないですか。でも、入団当初はそれほどうまくなかったんですよ。バッティングセンスはよくて、そこそこヒットは打つんだけどバントが得意じゃなかったから、「バントの成功率を上げれば、ピッチャーとしての勝率も上がるんじゃないの?」と言いました。

――現在の石川さんはめちゃくちゃバントが上手で、初球できちんと決めていますよね。具体的にはどんなアドバイスをしたんですか?

八重樫 室内練習場でマンツーマンで取り組んだことがあるけど、石川は「打つ構えからバントの構えにしたほうが、リズムが取れるんです」って言っていましたね。

――つまり、バスターの逆パターンですね。普通に打つ構えから、ピッチャーが投球動作に入ると同時にバントの構えをするという。

八重樫 そうそう。特に技術的なことを教えた記憶はないけど、バッティングセンスがいいから呑み込みが早くて、何度も練習しているうちにどんどん上達していきました。今では、本当に見事にバントを決めているよね。とにかく向上心が強いタイプだから、貪欲にいろいろなことを吸収したいんでしょう。

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