大輔だけじゃない! 館山昌平が驚愕した「松坂世代」のすごいヤツら。「広島の1、2番コンビはイヤでした」 (2ページ目)

  • 菊地高広●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Koike Yoshihiro

── 松坂さんの存在は知っていましたか?

「まったく知りませんでした。僕の中学時代のネットワークは厚木で止まっていましたから。高校1年生の時、tvk(テレビ神奈川)の番組で131キロを投げる1年生が取り上げられていたんです。当時の自分は120キロくらいだったので、『すごいな!』と驚いて。でも、シニア出身の同級生が『横高(横浜高校)に140キロを投げる1年がいる』と言っていて。僕は『いやいや、ウソだよ』と信じていなかったんですけど、それが松坂だったんです。でも、最初は松坂に興味が湧きませんでした。こっちはベンチ入りが目標なんですから(笑)」

── 当時の神奈川には鎌倉学園にも長田秀一郎さん(元西武ほか)、加納大祐さん(元松下電器ほか)のダブルエースもいました。

「ふたりとも球は速いし、(ヒジの使い方が)柔らかいし、ピッチャーらしいピッチャー。本当にすばらしい投手でしたね。2年秋の地区予選では鎌倉学園と同じブロックに入って、完敗しているんです。第2代表で出た県大会では決勝で横浜に負け、関東大会でも決勝で横浜に負けました。3回負けて甲子園(センバツ)に出るチームなんて、なかなかないですよね」

── 日大藤沢と横浜は翌春の関東大会を含め、公式戦で3回も戦います。そのすべてで松坂さんの投げる横浜に敗れるわけですが、実際に対戦してみてどうでしたか?

「鮮明に覚えているのは、『ボールって加速するんだな』ということ。彼のボールはある地点から加速していくような、そういう錯覚を覚えたんです。打席でもベンチで横から見ていても、今までの対戦相手では見たことがないボールでした」

── 春の関東大会での延長13回の死闘は、松坂さん本人も「高校時代のベストゲーム」と振り返っていると。

「松坂と『投げ合っている』という感覚はないですね。こちらは個ではなく、『松坂vs日大藤沢』という感じ。松坂がいいピッチングをしたから、自分も......と引きずられる感じはなくて、もう次のバッターのことを考えていました」

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