今年は清宮、藤浪も別チーム選手に弟子入り。「呉越同舟自主トレ」で急成長した男たち (3ページ目)

  • チャッピー加藤●文 text by Chappy Kato
  • photo by Sankei Visual

【MLBも注目の打者を育てた内川の「打撃の極意」】

 ポスティングによるメジャー移籍を目指す鈴木誠也(広島)。プロ4年目・2016年1月の自主トレで入門したのが、内川聖一(当時ソフトバンク)だった。

 横浜時代の2008年、右打者では史上最高の打率.378を記録。ソフトバンク移籍1年目の2011年には、史上2人目の「両リーグ首位打者」に輝いた内川。鈴木は、日本一の右打者・内川がどんな練習をしているのかを知るため、石井琢朗コーチ(元横浜、当時広島一軍打撃コーチ)らに相談。合同自主トレが実現した。

 鈴木が内川に教わった打撃の極意は、こうだった。

「個人的にわかりやすかったのが、"昆虫の蝶は4つ羽があって、それぞれ違う動きをして飛んでいる"というお話を聞きました。野球も一緒で、きれいに体を動かしているだけでは打てなくて、『全てが違う動きをして一つの作品になって良い打球が打てる』と教わりました」 (『広島アスリートマガジンWeb』2016年、春季キャンプ時のインタビューより)

 大打者が長年かけて会得した技術を、自主トレ中、短期間でモノにできるわけはない。だが一流打者の打撃に対する「考え方」を知り、引き出しを増やすことは大きな財産になる。この年、鈴木は打率.335、29本塁打、95打点と打撃開眼し、広島の25年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。

【自主トレで生まれた「お化けフォーク」】

 千賀滉大(ソフトバンク)も育成選手だった2012年1月、チームの先輩に誘われ、アスリートコンサルタント・鴻江寿治氏が主宰する自主トレ合宿に参加。ここで吉見一起(元中日)と出会った。

 吉見は前年、中日のセ・リーグ2連覇に貢献したエース。千賀は絶好の機会を逃さず、吉見に勝つための投球術を熱心に聞き出した。当時、球はやたらと速いが、制球難に苦しんでいた千賀にとって、精密なコントロールを誇る吉見は絶好のお手本だった。

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