猛バッシングからの大歓声も。新井貴浩など現役晩年に古巣に戻って輝いた男たち

  • 紙井昇●文 text by Kamii Noboru
  • photo by Kyodo News

 横浜1年目の2011年は、監督推薦で自身初のオールスター出場を果たすなど、二塁、遊撃で活躍するも、移籍3年目の2013年7月に自身2度目のトレードで、今度は西武に移籍することになる。

 西武では中村剛也の守備固めとして三塁を守るなど、持ち前の守備力を発揮したが、2017年の源田壮亮の入団により出場機会が激減。同年オフに戦力外通告を受けるも、自身のキャリアをスタートさせた楽天が獲得。2020年からは打撃コーチを兼任するなどチームを支えたが、この年限りでの現役引退を決意。

 9月13日に引退会見を開いた渡辺は「楽天に入団してから、このユニフォームを着て引退することが自分の夢だった」と涙を浮かべながら、古巣への愛着と感謝を述べた。

【戦力として必要とされた福留】

 現役晩年に古巣に復帰する場合、純粋な戦力というよりも「功労者に用意する最後の花道」の側面がどうしても強くなる。その流れに一線を画すのが、昨年中日に復帰した福留孝介だろう。

 2008年から5年間メジャーでプレーした後、2013年に阪神入団で日本復帰。移籍初年度こそ63試合出場で打率1割台と苦しんだものの、2015年は140試合に出場し、打率.281をマークするなど健在ぶりを示した。

 だが2020年は43試合出場にとどまり、10月に来季の構想から外れていると報じられ、12月に退団。非公式での入団交渉の末、同月12日に中日が獲得を発表した。

 中日復帰後は、開幕戦の代打で復帰後初出場、交流戦からスタメンに定着し、「3番・DH」で出場した5月29日の日本ハム戦で、4安打を記録するなど存在をアピールした。

 福留と同じく、メジャー挑戦後に古巣以外の国内球団に移籍、そして最後に古巣へと舞い戻った選手では、五十嵐亮太の名が挙がる。

 五十嵐は、3年間のメジャー挑戦を経て、ソフトバンクで日本球界に復帰。ヤクルト時代からの代名詞とも言える150キロを超える速球だけでなく、独特な軌道のパワーカーブなどの変化球も操り、セットアッパーとして活躍。ソフトバンク移籍2年目の2014年には、63試合登板で44ホールドを記録した。

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