ロッテの安田尚憲と藤原恭大はなぜ伸び悩んでいるのか。高木豊は「共通の課題」を指摘 (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Kyodo News

【打率が上がれば本塁打も増える】

 確かに昨季は、緩い変化球をとらえる「巧さ」は度々見せるものの、力のある直球に振り遅れ、力のないファウルが三塁側のスタンドに打ち上がるシーンが目立った。昨季の対直球の打率は.243(2020年は.214)と低く、直球をとらえる確率を上げることは緊急の課題だ。

「直球をとらえられないのも、体でバットを振ろうとして開いてしまうから。そこを徹底して直せるかどうかですよね。

 あと、構えを模索しているようですが、僕はその都度変わってもいいと思ってます。重要なのは、スイングの軌道をどう作っていくか、ということ。メジャーのフライボール革命(アッパースイングでフライ性の打球を打つ)の影響からか、バットを下からしゃくり上げたり、少しそれを戻したりといろいろ試していますが、軌道を安定させないといけない。そうしないと、いつまでも『今日はバットに当たった、当たらなかった』ということの繰り返しになってしまいます。

 バットの軌道が安定しないと打率は上がりません。安田はホームランを求められる打者ですが、やはり打率が低いと、本人も首脳陣もストレスになるでしょう。確率の高いフォームを作り上げればホームランも増えると思います。打率.270~280を残せたら、彼のパワーなら20本は打てますよ。それ以降は、打率が少し下がったとしても、30本を狙えるようになるはずです。

【腕を動かすために体を止める】

 そんな安田とともに期待されているのが藤原。昨季は7、8月に打率.348、5本塁打、15打点をマークして月間MVPを初受賞したが、9月以降は足のケガの影響もあって不振に陥った。

「結局は、技術が確立されていなかったということだと思います。状態がよかった7、8月と比べて、それ以降は打ち方が変わってしまいました。足のケガの影響があってもそんなに打ち方は変わらないと思うんですが、なんであんなに体が開くようになってしまったんだろうと。『あの形だと左投手のボールはほとんど打てないだろうな』と見ていましたが、思ったとおりでした(対左投手の打率.157)。

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