「銭闘」でプロ野球をザワつかせた4人の男たち。名・迷言で振り返る2000年以降の契約更改「事件簿」 (3ページ目)

  • 白鳥純一●文 text by Shiratori Junichi
  • photo by Sankei Visual

【「携帯会社と同じで既存契約には冷たい」杉内俊哉(ソフトバンク)2010年】

 2002年にダイエーに入団した杉内俊哉は、2年目の2003年に10勝を挙げてチームの日本一に貢献。チームの名称が「福岡ソフトバンクホークス」に変わった2005年には、故障明けながら最優秀防御率、最多勝、沢村賞のタイトルを獲得した。

 2007年以降も4年連続で2桁勝利を挙げるなど、順調に白星を積み重ねてきた杉内だったが......16勝してリーグ優勝に貢献した2010年のオフに、契約更改での発言が波紋を呼んだ。

「球団から労を労う言葉もなかった。携帯会社と同じで、新規加入には優しく、既存の人はそのまま」

 球団を皮肉りながら怒りを露わにし、前年から5000万円アップの3億5000万円の提示を保留。活躍に応じて額面が変動する契約に対して、徹底抗戦の構えを見せた。オーナーが直接出向く異例の交渉で提示額での合意に至ったが、翌年に取得したFA権を行使し、巨人に移籍するきっかけになったとも言われている。

 移籍初年度の2012年はノーヒットノーランを達成するなど活躍したが、2015年シーズン途中に患った股関節痛の影響により、本来の投球ができない日々が続く。この年のオフには5億円から90%オフとなる5000万円でサイン。自身に対する厳しさも見せたが、ケガは思うように回復せずに2018年限りで引退。現在は巨人で2軍投手コーチを務め、選手たちの勝利数と年俸を増やすために奮闘している。

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