バレンタインが語るメッツ時代の新庄剛志と監督就任への期待。「彼より守備のうまい外野手はいなかった」 (2ページ目)

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by UPI/AFLO

 新庄はオレンジが映えるメッツのユニフォーム姿も似合っていたが、ボビー流の野球にもフィットした。メジャー開幕戦で代走として出場した新庄は、そのあとメジャー初打席初ヒットを放ち、延長10回に勝ち越しの得点を記録。チームを勝利に導いた。

 守備でも、開幕からの5試合でライト、センター、レフトと外野の全ポジションで起用するなど、バレンタインにとって新庄は本当に便利で、心強い武器だった。

【新庄の守備力は世界で5本の指に入る】

 メジャー1年目、新庄は打率.268、10本塁打、56打点の成績を残した。真っすぐが得意で、クラッチヒッターという印象が強いが、ボビーは新庄の守備力を高く評価していた。

「日米複数の球団で監督をしましたが、新庄より守備のうまい外野手はいませんでした。当時、メッツのライバル球団だったブレーブスにアンドリュー・ジョーンズというメジャー屈指のセンターがいましたが、守備力だけなら彼に負けていませんでした。新庄は肩の強さだけでもファンを呼べる選手でした」

 当時のジョーンズと比較するだけでもかなりの評価である。

 ジョーンズは1996年にブレーブスでメジャーデビューを果たし、98年から10年連続ゴールドグラブ賞を獲得。オールスターにも5回出場したメジャーを代表するスーパースターだった。

 2001年、新庄はジョーンズの10補殺を上回る12補殺を記録。しかもライト、センター、レフトと外野の全ポジションから記録した。さらに言えば、ジョーンズの守備機会477に対して、新庄は271だった。

 バレンタインだけじゃなく、地元紙『ニューヨーク・ポスト』は新庄の守備力は世界で5本の指に入るという記事を掲載したこともあった。

 守備だけじゃなく、オレンジのド派手なリストバンドをつけてプレーする姿や、本塁打を放った時の豪快なバットフリップなどでもファンを魅了した。バレンタインはその明るいキャラクターが球界に復帰することを大歓迎する。

「野球自体はすばらしいスポーツなので、ゲームそのものを変える必要はありません。しかし、最近はエンターテイメント性が少なくなっているので、新庄に大きな期待を寄せています。とくにアメリカでは打者の飛距離や投球の速度ばかりに注目が集まってしまっています。ただ話題にすべきはボールではなく、選手たちです。選手たちの能力、パフォーマンスによって、野球の面白みがあるわけです。新庄は選手たちにスポットを当てられる監督だと思います」

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