球界のレジェンド・山本昌に聞く「なぜベテラン左腕は生き残れるのか?」 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Koike Yoshihiro

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── それでは、4投手について個別にお聞きします。まず、能見投手は阪神からオリックスに移籍して1年目で26試合に登板。2セーブ5ホールド、防御率4.03。貴重な左のリリーフとして存在感を示しました。通算成績は469試合登板で104勝93敗4セーブ56ホールド、防御率3.35です。

「僕は阪神の臨時コーチ(2019年秋〜2020年春)をした縁もあって、能見くんのことは見ていました。投手コーチ兼任という立場は非常に難しかっただろうと思います。僕は経験がないですが、指導する以上は自分で示さなければならないし時間もとられますから。大変な仕事を抱えながら現役投手としても活躍して、リーグ優勝に貢献したのですからすばらしいです」

── 石川投手は山本昌さんが目標だと公言していますし、縁の深い投手ではないでしょうか。2021年は17試合の登板で4勝5敗、防御率3.07で日本一に貢献。通算成績は504試合登板で177勝176敗、防御率3.86。200勝まであと23勝に迫っています。

「石川くんには、『とにかく200勝まで石にかじりついてでもやってくれ』と伝えています。2021年は状態がよかったんですけど、好投しても勝ち星がつかない試合が多かった。でも、彼は数字で見せていくしかないんです。2021年は5〜6回で交代させられていましたが、たとえばこれが7勝1敗といった成績の投手なら『もう1イニングいかせよう』となってくる。2022年はそんな信頼感を勝ちとってもらいたいです。そして、あと2年で200勝まで残り1ケタまでもっていきたい。残り1ケタまでくれば、『なんとか200勝を達成してもらいたい』という雰囲気が生まれますから」

── 和田投手は2021年に18試合の登板で5勝6敗、防御率4.48。NPB通算成績は288試合登板で143勝77敗、防御率3.19(MLB通算21試合登板、5勝5敗、防御率3.36)。4人のなかでもっとも衰えとは無縁の状態に見えます。

「そのとおりですね。和田くんは相変わらずボールのキレもいいし、若い頃からあまり変わっていません。ただ、完投能力はさすがに落ちてきたので、7回100球を目安に与えられた仕事をしっかりこなしてもらいたいですね」

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