鈴木誠也に1億ドル以上の契約金なら「契約不要」の声も。米メディアが報じる「争奪戦」参加チームの思惑と現状

  • 澤良憲●取材・文 text by Sawa Yoshinori
  • photo by Kyodo News

【契約金が1億ドルに?】

『オーダシー』では、フィリーズについても言及している。鈴木はリードオフマン、あるいは今季ナ・リーグMVPに輝いた、ブライス・ハーパー外野手に続く打者としての役割が期待できると書かれている。これまでフィリーズが候補先に挙がったことはなかったが、同記事は「(鈴木は)彼らのリストの上位にいるはずだ」と予想している。

 ただ、鈴木にとって、フィリーズは「ふさわしくない」とも言われている。これは球団OBのトレバー・プルーフ氏がラジオで語っていた話で、フィリーズの専門メディア『フィリーズ・ネイション』がその詳細を紹介した。

 それによれば、フィリーズファンはヤンキースファン以上に残忍で、メジャー1年目の選手には厳しい環境になる、と書かれている。同記事はプルーフ氏の発言に「馬鹿げた話だ」と反論しているが、鈴木はプレー環境も条件のひとつに挙げている。フィリーズについては、それらも含めて動向に注目したい。

 最後はジャイアンツだ。『NBCスポーツ』は12月16日、『MLBネットワーク』のジョン・ヘイマン記者の「ジャイアンツやマリナーズを含む西海岸の球団が、鈴木の獲得戦に参加している」という発言を基に、同球団にとって鈴木はどのような魅力があるかを紹介した。それによれば、ジャイアンツは外野の層を厚くはしたいが、大型の補強は望んでいないとのこと。その条件の中で、契約金が6000万〜7000万ドルといわれている鈴木は、「球団の希望に適合している」というのが同メディアの主張である。

 しかし、12月17日以降、「鈴木の契約金は1億ドル(約11億円)になるかもしれない」という予想が現地メディアから出ている。そうなれば、「ジャイアンツは獲得を諦めるかもしれない」と前述の『オーダシー』は述べており、ジャイアンツがどう動いていくのか気になるところだ。

 ここまで紹介してきた球団はどこも、来季ポストシーズン進出の可能性があり、鈴木が希望する「勝てる球団」という条件には合っている。ただ、交渉に参加している球団はまだあるようなので、鈴木はこれら以外を選ぶかもしれないし、契約金次第では今後交渉から降りる球団が出てくる可能性も否定できない。実際、スポーツ専門メディアの『ファンサイデッド』は「鈴木が1億ドル以上ならば必要はない」と論じ、ブレーブスに争奪戦からの撤退を進言している。

 いずれにせよ、交渉が再開されれば、その詳細は続々と明かされていくだろう。はたしてどの球団が鈴木を射止めるのだろうか。現地の報道とともに、各球団の動きには引き続き注目していきたい。

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