横浜DeNAの牧秀悟が分析した自身の活躍の理由。2年目のジンクスは「めちゃくちゃ不安ですよ」 (3ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by Koike Yoshihiro

【後半戦ヒット量産のワケ】

 だが、またもや"運"が牧に微笑んだ。オリンピックブレイクによりペナントが3週間休止すると、ここで牧は休養をとることができ、体をケアすることができた。

「今年は本当、大事な場面で"運"が味方してくれたと思います」

 またこのオリンピックブレイクは、後半戦の大爆発のきっかけにもなった。インサイドのストレートに手を焼いていた牧に、坪井智哉打撃コーチは「真っすぐを弾き返せないと変化球も打てないぞ」と、いかにストレートを捉えるかを指導した。

 牧のバッティングの要になっている右軸足の体重の乗せ方、残し方。さらにインサイドアウトでしっかりボールを振り抜く感覚。元々は選球眼のいい打者である。牧は、外のボールを広角に打つ意識を残したままマイナーチェンジに挑んだ。

「すると後半戦はインコースの真っすぐをファウルだったり、前に飛ばしてヒットにすることができるようになったんです。自分としては引き出しを増やすことができました」

 後半戦、完全復調した牧の快進撃が始まる。

「好調の要因をよく聞かれるのですが、やはり一軍に帯同させてもらって、相手ピッチャーに慣れていったのが大きいと思うんです。同じピッチャー相手に、同じやられ方をしないように」

 この適応力の高さこそ、牧がこれだけの結果を残した最大の要因である。試合中はもちろん、試合以外の時間であってもゲームアナリストである靏岡賢二郎らに対戦投手の傾向を教えてもらった。

「たとえば、このピッチャーは意外とゾーン残りがあるから、がっつかずに真っすぐ一本に絞るとか、いろいろとアドバイスをもらいました。あとは打席内での雰囲気とか、いろいろなボール待ちを、試しながらやってきたというところですね」

 開幕前、牧は「プロは一打席で一球打てる球がくるかこないか。集中して仕留めたい」と語っていたが、甘い球どころか厳しいコースであっても弾き返し、ヒットを量産していった。

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