横浜DeNAの牧秀悟が分析した自身の活躍の理由。2年目のジンクスは「めちゃくちゃ不安ですよ」 (2ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by Koike Yoshihiro

 今季の牧は、その実力もさることながら、"運"をも引き寄せたといっても過言ではない。

 春季キャンプ時、牧はセカンドの序列でいえば大和や柴田竜拓に次ぐ存在だったが、外国人選手の来日の遅れもありファーストで起用されることになる。

「チームにとってはピンチだったと思いますが、個人としてはチャンスというか、出場機会が増えると思っていました」

 正一塁手であるソトが来日すれば、弾き出される可能性は高い。牧はオープン戦でチーム2位となる打率.273の数字を残すと開幕スタメンを勝ちとり、さらにソトらが合流した4月13日までに打率.385と打ちまくり、早くもチームにとって欠かせない選手へと成長していた。

「あの時が一番必死だったかもしれません」

 感慨深い表情で牧はそう言った。

 だが代償はあった。4月後半から徐々に調子を落とし、苦しい時間がつづくようになる。

「慣れない遠征もあって、疲労がたまったり......また、いらない感情が出てしまったりしました」

 いらない感情とは何だろうか?

「それまでは打っても成績とか気にしてなかったんですけど、徐々に意識というか、『今日打てなかったらマズい』とか、『明日は打たなきゃ』っていう感じになってしまったんです」

 打率は徐々に下降し、5月後半に打率は2割6分台まで落ち込んだ。さらに追い打ちをかけたのは交流戦の最終戦で腰を痛めてしまったことだ。ゴロを処理しランニングスローをした瞬間、腰に違和感を覚えた。

「今までにない感覚でした。そのまま隠してプレーをしてしまって......。頭によぎったのはファームに行くことで、それが自分では一番嫌なことでした」

 もちろんトレーナーに相談したが、当然ゲームに出続けたい気持ちが強かった。掴んだチャンスは絶対に手放したくはない。誰もが大なり小なり故障を抱えながら戦っているし、チームもケアを勧めるが、最終的にいけるかいけないかを判断するのは選手である。その後、スタメンを外されることもあり、牧にとって我慢の時間が過ぎていく。長いシーズンを戦うことの難しさを知った。

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