22試合連続無失点、1試合3本塁打、15失点大炎上...明暗くっきりだったドラフト1位のルーキーたち (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kyodo News

 早川は24試合に登板して9勝7敗、防御率3.86。2020年ドラフトでは4球団が重複1位指名した実力を発揮した。とはいえ、無双状態だった早稲田大4年時の投球に比べるとやや勢いが落ちた感もあり、2ケタ勝利と規定投球回にわずかに届かなかったのは残念だった。

■ファームでじっくり経験を積んだ高卒ルーキーたち

 上記4選手ほど華々しい活躍ではなかったものの、しっかり一軍戦力になったのは、鈴木昭汰(ロッテ)だ。法政大時代よりもストレートの勢いが増し、開幕から先発ローテーション入り。シーズン終盤にやや息切れしたものの、先発12試合、リリーフ11試合とチーム事情に応じて柔軟な起用に応えた。勝利数は1に留まったが、クオリティースタート(6イニング以上を投げ、自責点3以内の試合)は5回。来季は高いゲームメイク力を生かし、小島和哉に続く先発左腕として存在感を見せたい。

 将来を見据え、1年目はじっくりと実力を養成していたドラフト1位もいる。

 中京大中京高で高校ナンバーワン右腕と呼ばれた高橋宏斗(中日)は、ファームで1年間を過ごした。ウエスタンリーグ14試合に登板し、0勝5敗、防御率7.01。34回2/3投げて被安打51と、プロの壁に当たった格好だ。それでも、自己最速の155キロをマーク。秋のフェニックスリーグでは好不調の波はありながら、11回連続無失点と大器の片鱗も見せ始めている。

 190センチの大型右腕・山下舜平大(オリックス)もファームで苦しんだ。18試合に登板して2勝9敗、防御率5.48。高校時代から将来を見据え、ストレートとカーブの2球種でやりくりしていたが、プロではシーズン途中からフォークを扱うようになっている。このまま時間をかけ、骨太な大投手への階段を上がっていってもらいたいものだ。

 野手では、井上朋也(ソフトバンク)の順応性の高さが目を引いた。花咲徳栄高では爆発力のあるインパクトで高校通算50本塁打を放った右のスラッガー。選手層の厚いソフトバンクに入団したものの、夏場に二軍での出場機会を増やした。最終的に.246まで落ちたが、一時は3割に迫る高打率をマーク。45試合で3本塁打、11打点を記録した。素材を高く評価する藤本博史監督が二軍から一軍監督に就任した追い風を生かしたい。

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