イチロー、金本知憲、山本由伸らに続けるか。球界のスターになる可能性を秘めるドラフト4位入団の逸材たち (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Sankei Visual

 そんな投手がドラフト4位まで残っていた理由は、スカウトの視察機会が限られていたから。今夏は左ヒジ骨髄浮腫の影響で公式戦登板なしに終わり、春を含めても今年は公式戦でわずか2イニングしか投げていない。むしろ、西武はよく4位で指名したと見るべきだろう。

 故障箇所が治療に時間がかかる靭帯ではなく、骨という点は不幸中の幸いだった。現在はノースローで自宅やジムでトレーニングをしている。八王子高の安藤徳明監督は「その日の感覚やボールの様子を見て、ピッチングを変えられる選手」と器用さがある点も評価する。まずは心置きなく投げられる状態を取り戻せれば、プロで大輪の花を咲かせる可能性は十分にある。

 阪口樂(日本ハム4位)、田村俊介(広島4位)、前川右京(阪神4位)という高校生も将来楽しみな左の強打者だ。近年はプロ側の「右打ち野手」の需要が高まっており、能力は高くとも左打者の彼らは4位まで残ったとみられる。

 とくに阪口は2021年ドラフトの目玉格になっても不思議ではなかった存在だ。打席で構えた姿は大谷翔平(エンゼルス)と重なり、昨夏の岐阜独自大会では帝京大可児高・加藤翼(現中日)の149キロをライトスタンドに運ぶセンセーショナルなホームランを放った。今年に入って公式戦で結果を残せない試合が続き、視察に訪れたスカウト陣の評価が上がらなかった。とはいえ、スラッガーとしての素材は一級品だけに、プロの環境で大化けするかもしれない。

 田村は愛工大名電では投手としても活躍し、今夏の甲子園の試合後には「両方やりたい」とプロでの二刀流希望を明かした。だが、広島のスカウト陣が評価したのは、田村の類まれな打撃力。甲子園でも本塁打を放ったように、柔らかいリストで弾き返す打撃は高い将来性を感じさせた。左投げながら一時期はサードをこなしたように、器用さもある。高校の偉大な先輩・イチローに続く、"ドラ4"からの出世はなるか。

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